空き家で米・酒 月岡温泉(新潟県新発田市)
おもてなし 魅せどころ

2018/8/7 6:30
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NIKKEI MJ

新潟市から車で50分ほどの月岡温泉(新潟県新発田市)で、地元の若手経営者らが「歩きたくなる温泉街」の演出に知恵を絞っている。目抜き通りの景観を茶色で統一し、古い空き家を再生して体験型の飲食・物販店を相次ぎ開業した。数年でこれほど変わった温泉街も珍しいだろう。

せんべいの手焼きなど体験型の店が軒を連ねる

せんべいの手焼きなど体験型の店が軒を連ねる

約400メートルの通りの一角に今春、5軒目の体験型店舗が登場した。店名は「新潟粉物 米(べい)」。米どころ新潟の米粉を使った大判焼きや自分でゆでる米粉うどんが人気を集める。

第1弾は2014年に開業した「新潟地酒 蔵(くら)」だ。地元の清酒を500円で3杯飲める。その後は毎年、干物や発酵食品の「新潟地物 旨(うまみ)」、せんべい販売の「新潟米菓 田(でん)」、雪室コーヒーやワイン販売の「新潟飲物 香(かおり)」を開いていった。

既存の商店街の店と競合させず、試食や手作り体験を売り物にする。廃屋は減り「温泉以外は何もない」と言われた地域は「店をハシゴしながら、家族で歩いて楽しめる」(埼玉県から来た父子)温泉街に生まれ変わった。

新店を運営するのは30~40代の旅館経営者らが出資した合同会社ミライズだ。飯田武志さん(ホテル泉慶常務)らが「街全体の魅力を高めて旅館業を再生させよう」と同志を募った。足元を見れば、バブル期に年120万人いた来訪者は半減し、旅館も3分の1に減っていた。

転機は開湯100年に当たる14年。月岡温泉観光協会がまず、荒れ地になっていた温泉発祥地を「源泉の杜(もり)」として整備。建物やバス停、郵便ポストも茶色で統一する活動を始めた。そこへミライズの空き家再生事業が加わり、日帰り客はここ数年で1.5倍以上に増えた。

観光協会は10月には、商店街の空き地に「月あかりの庭」と名付けた和風庭園を開き、多彩な照明で夜の散歩を促す。観光客が安心して歩けるよう、目抜き通りを一方通行にして歩道を整える計画もある。来春には6つ目の体験型店舗も開き、「新潟特産の果物を主役に据える」と飯田さん。

月岡温泉を訪れる外国人観光客はまだ少ない。案内冊子に多言語版を用意し、無料Wi-Fiの環境も整えたが「現場での対応はまだまだ未熟。より実践的な研修が必要かもしれない」。飯田さんは国内客回復の先を見据えている。

(新潟支局長 管野宏哉)

[日経MJ 観光・インバウンド面 2018年8月6日付]

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