2018年12月16日(日)

増やしたい伴走のプロ
SmartTimes インターウォーズ社長 吉井信隆氏

コラム(ビジネス)
2018/8/6付
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「アクセラレーター」と「インキュベーター」が同列に語られていることが多い。どちらもスタートアップ起業家に早い段階から関わるが、異なる枠組みだ。

1979年リクルート(現リクルートホールディングス)入社。首都圏営業部長など経て95年にインキュベーション事業のインターウォーズを設立、社長に就く。日本ニュービジネス協議会連合会副会長。

1979年リクルート(現リクルートホールディングス)入社。首都圏営業部長など経て95年にインキュベーション事業のインターウォーズを設立、社長に就く。日本ニュービジネス協議会連合会副会長。

アクセラレーターは既にある企業の成長を「加速する」(アクセラレート)ことに焦点を当てており、インキュベーターはビジネスモデルや会社を構築することを目的とし、革新的なアイデアを「生み出す」(インキュベート)段階からイノベーションを重視している存在だ。

今から25年前、シリコンバレーにあるインキュベーション施設を訪ねた。運営しているインキュベーション・マネジャー(IM)は、プライベート・エクイティ・ファンドを組成しスタート資金を投資し、起業アドバイスや人材紹介、弁護士、会計士のコーディネートを同時に行っていた。

この頃、日本ではアクセラレーターは存在していたが、インキュベーターはほとんど知られておらず、スタートアップをインキュベートする機能が圧倒的に弱かった。私は、「新しい事業は誰もやっていない、社会の要請に応える事業であること」というリクルートのDNAに従い、インキュベーターを目指し当社を立ち上げた。

スタート時は苦労の連続だったが、試行錯誤を繰り返し、インキュベーターの「ワーキングスペース運営者」とインキュベーションの「マネジャー」の役回りを、起業家のステージに応じて変えることによって成果が出るようになった。イノベーションは、マネジャーの関わり方で大きく変わる。当社のIMの心得8カ条を紹介したい。

(1)主役は起業家。初期の段階では起案の経緯や思いを受け止め論評しない。

(2)起業家の設定するテーマが重要で、共感できなければ担当しない。

(3)起業家と共に汗をかく伴走者である。

(4)起業家の複眼の目として、顧客ヘのインタビューによって分析を深め、プロセスで仮説を軌道修正してゆく助言者である。

(5)知識外の事は、意見を出さず専門家につなぐコーディネーターである。

(6)起業家と共に協業を考え交渉する代行者である。

(7)起業家の孤独に寄り添い、勇気を与える支援者である。

(8)起業家とステークホルダー双方の利害を調整する役者である。

シリコンバレーのインキュベーターには多くのIMが存在し、起業家への様々なサポートによってスタートアップが続々と誕生している。海外のIMは、起業経験者か、企業での新規事業立ち上げ経験者が多い。一方、日本のIMの多くは、そういった経験の無い金融系、コンサル系、施設管理系の人が多かったが、近年は経験を積んだIMを見かけるようになった。心得のあるIMが集うインキュベーターの創生が、起業社会への道筋だ。

[日経産業新聞2018年8月6日付]

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