2019年7月21日(日)

春秋

2018/8/1 1:13
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人が抗(あらが)えない神のようでもあり、災いの象徴でもあるかのような怪物。腰骨から背をすっくと伸ばしたまま摺(す)り足で東京の街を縦断する。大ヒットした映画「シン・ゴジラ」の主役がこの人の動きを取り入れつくられたと知って、なるほどと思った人は多かったはずだ。

▼東京五輪・パラリンピックでは、開会式と閉会式、あわせて4つのイベントが行われる。その企画・演出の総責任者に、狂言師の野村萬斎さんが選ばれた。能、狂言という伝統芸能にとどまらず、現代演劇や映画にも出演し、構成や演出まで手がける。国の内外で活躍する表現者としての力量を評価されてのことであろう。

▼「シンプルかつ、和の精神に富んだ五輪になるよう全力を尽くしたい」。きのう会見した野村さんは、気負うことなくこう語った。近代五輪の歴史は120年ちょっとにすぎない。かたや狂言は650年に及ぶ大先輩である。ド派手な映像を駆使した演出も楽しいが、日本の文化や伝統を体現するような企画を期待したい。

▼東京を破壊したゴジラ萬斎が「鎮魂と再生」を掲げ、五輪の総指揮を執る縁もまた面白い。「三丁目の夕日」で知られる映画監督の山崎貴さんら、最終的には数百人規模のスタッフがかかわるという。2年後はすぐだが、各界の知恵が集まれば慌てることもなかろう。じっくり腰を据えいいものを。そろりそろりと参ろう。

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