2018年9月21日(金)

金融緩和の長期戦に備える日本銀行

2018/7/31 23:20
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 物価見通しを引き下げ金融緩和の長期化を覚悟する一方、それに伴う経済への副作用にも配慮する姿勢をみせる。日本銀行が30~31日の金融政策決定会合で決めたのはこんな内容だ。

 物価の上昇力が鈍いなかで現実的な対応ではあるが、金融政策が複雑になり、わかりにくくなっていることは否めない。日銀は市場との対話や国民への説明の努力をさらに進めてほしい。

 日銀は、消費者物価上昇率(生鮮食品を除く)の見通しを、2019年度は4月時点の1.8%から1.5%に、20年度は1.8%から1.6%に改めた。この見通しに沿えば、物価安定目標の2%には20年度も届かず、金融緩和は長期化することになる。

 日銀は、政策運営の先行きを示すフォワードガイダンスを導入し「きわめて低い長短金利の水準を維持する」と約束した。金融緩和を粘り強く進める方針を示すと同時に、市場や金融仲介機能の維持に配慮する措置も導入した。

 日銀は現在、10年物国債利回りをゼロ%程度にするために利回りが上下0.1%の狭い範囲におさまるよう誘導しているが、今後は経済・物価情勢に応じて変動幅が広がることを容認する。また短期金利では、民間金融機関が日銀に預ける当座預金のうちマイナス金利の対象になる残高を縮小する。

 従来の長短金利操作のもとでは、国債利回りの変動縮小に伴う市場機能の低下や、金融機関の収益悪化に伴って金融仲介機能が損なわれる懸念も生じていた。今回の措置は、長期化する金融緩和の副作用を和らげる効果を持つと日銀はみている。

 黒田東彦総裁は今回の措置について、金融緩和の持続性を高める措置と説明している。

 日銀の政策委員の中にも、物価目標の早期達成を重視する人もいれば、金融緩和の長期化に伴う副作用を懸念する人もいる。そのなかで、一致した政策の方向性を出す苦心の跡は今回の日銀の発表文にもみてとれる。

 ただ「長期金利の小幅上昇を容認しながら、金融緩和を続ける」という日銀の説明は一般にはわかりにくい。日銀は金融緩和の副作用には目配りしつつ、政策をめぐる市場との対話に細心の注意を払うべきだ。日銀の国債購入と低金利政策が続くなかで、政府の財政健全化の取り組みが緩まないようにすることも重要だ。

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