2018年9月20日(木)

逆流したカンボジア民主化

2018/7/30 23:06
保存
共有
印刷
その他

 カンボジアの総選挙でフン・セン首相ひきいる与党が圧勝した。だが選挙に先立ち、政権が有力な野党を強制的に解散させるなど、今回の選挙の正当性そのものに大きな疑問がある。形ばかりの民主主義はとうてい容認できない。

 同国では内戦が終結した後、国連の指導の下で1993年に民主的な選挙制度が導入された。今回は6回目の総選挙となるが、就任33年のフン・セン首相の事実上の独裁を裏づける結果となった。

 フン・セン政権は昨年11月、事前に改正した政党法に基づき最大野党のカンボジア救国党を解党させた。選挙に参加した20政党は与党を除けばいずれも弱小で、実施さえすれば与党が確実に勝利する茶番劇とも呼べる選挙だった。

 正当性を装うため外国から監視団を受け入れたが、日米欧は派遣を見送った。中国、ミャンマー、シンガポールや東欧の個人有志が集まっただけだった。パリでのカンボジア和平協定の締結から27年がたつが、ここにきて同国の民主化は目に見えて後退している。

 有力な産業が育っていないカンボジアは、中国の投資と援助資金に経済を大きく依存する。南シナ海の領有問題など政治・外交面でも、フン・セン政権は東南アジア諸国連合(ASEAN)の中で常に中国の立場を代弁してきた。中国の影響力は極めて大きい。

 国内では、権益の独占や賄賂・汚職の横行などに国民の不満が高まっている。批判を封じ込めるため、フン・セン首相は中国を後ろ盾に一段と強権的な手法に傾く恐れもある。それではアジアの民主主義の発展にもマイナスだ。

 米欧では経済制裁で改革を促すという意見が強い。だが孤立させればさせるほど、中国への依存を深める結果となりかねない。現実的な目配りが求められる。

 中国だけに頼らない自律的な経済発展に導く必要がある。日本は民間企業による直接投資や政府間の対話を通してカンボジアに粘り強く関与し、将来の進路の選択肢を示し続けていくべきだ。

秋割実施中!日経Wプランが12月末までお得!

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報