2018年10月24日(水)

介護人材の養成・確保に手立てを尽くせ

2018/7/30 23:06
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介護人材を今後2年間にベトナムから1万人受け入れることで日越両国政府が合意した。日本はラオスやカンボジアなどにも受け入れを増やせないか打診している。

唐突ともいえる多人数の受け入れに安倍政権が動くのは、介護現場の人材不足が一刻の猶予もないほど深刻だからだ。ただし海外頼みには限界がある。今ある人的資源の上手な活用との合わせ技で、介護サービスに滞りが出ないよう知恵を絞ってほしい。

5月に厚生労働省が示した社会保障の長期見通しによると、介護分野の就業者は足元の334万人から2025年度に約400万人、40年度には約500万人に増える。医療や保育分野にくらべて増加幅が大きいのが特徴だ。

要介護高齢者の急増が背景にあるが、それに見合って就業者を増やすのは現実的ではない。人手不足は介護分野に限らないし、不足分を埋めきれるほど海外から受け入れられるわけでもないからだ。

重要なのは、要介護者の増加を抑える対策である。軽度の要介護者向けを中心として、できるだけ介護サービスの世話にならない人を増やす工夫に、介護業界と地方自治体は総力を挙げるべきだ。

真に介護が必要な人へのサービスを絶やさないためにも、たとえば筋力の回復訓練などによって日常の暮らしを取り戻せるような高齢者には、自立を促すのが理にかなっているだろう。

そのうえで3点、提案したい。

まず、デジタル技術の活用だ。あるゆるモノがネットにつながるIoT、人工知能、ロボットなどを高齢者の見守りや身体介護に十二分に生かせる環境づくりを、官民を挙げて推し進めるべきだ。

次に、ほかの職種との資格共通化だ。海外に先進事例がある。フィンランドで介護士や保育士になるには、共通の基礎教育を受けるのが一般的だ。専門課程を終えた保育士が介護士を兼職したい場合は、さらに1年の専門課程を受ける。資格取得の基礎条件を共通にするやり方は大いに参考になる。

最後に、家族介護の活用だ。家族を介護に縛りつけてはならないが、家族の世話になりたいという高齢者の希望を満たすためにも、一定の条件のもとで介護保険から介護者に現金を給付する制度改革を検討するときではないか。

介護現場では人材が確保できずやむなく施設を閉じたところがある。対策は時間との戦いである。

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