2018年11月20日(火)

クロネコにおごりなかったか

2018/7/29 23:13
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ヤマトホールディングス(HD)の子会社が法人顧客の引っ越し料金を過大に請求していた。人手不足やネット通販の急拡大を理由に配送料金を引き上げておきながらの不正は、顧客の信頼を損なう悪質な行為である。

2011年に内部告発によって過大請求が発覚したにもかかわらず、放置していた。企業統治の不備があるのは明らかだ。

ヤマトグループは宅配ビジネスで5割近いシェアを占め、社会インフラを支える企業だ。社会的責任の自覚がどれほどあったのか。組織の根底にある不正の原因を徹底的に究明し、全力をあげて信頼を回復しなくてはならない。

引っ越し部門の子会社が16年5月から18年6月までに、2640社に対し過大請求していた。不正に得た総額は約17億円にのぼる。

法人の場合、引っ越す本人が代金を払わないので個人よりチェックが甘くなりがちだ。その盲点を悪用して請求額を膨らませていたのではないか。ヤマトHDは「社員の教育やルールが徹底できていなかった」と説明するが、再発防止の努力を怠っていたとみられても反論は難しいだろう。

人手不足に苦しむ宅配業界は「宅配クライシス」として世の関心を集めた。同情的な世論も手伝って、クロネコで知られるヤマトグループは17年10月に個人向け宅配便の料金を引き上げた。

アマゾンに対して交渉で「ノー」といえるほどに発言力をもち、配送料の引き上げを受け入れさせた。こうした強い立場に、おごりや緩みはなかったか。

ヤマトグループは17年に宅配ドライバーらへの残業代未払い問題を起こしている。社内の規律や顧客の満足よりも、人手の確保や事業の拡大を優先してきたひずみが出ている。

ヤマトは国の規制や郵政事業の独占と戦い、1つの荷物でも個人の自宅まで届ける宅配ビジネスを創造した。顧客の信頼を取り戻すには、まず創業の精神に立ち返ることが必要だ。

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