2018年9月24日(月)

これでは情報公開制度が成り立たない

2018/7/28 0:29
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 野田聖子総務相に関係する情報公開をめぐり、金融庁職員が請求内容を総務省に漏洩した事実が明らかになった。公開制度の公正な運用をゆがめる極めて不適切な行為だ。野田氏は所管閣僚でありながら注意喚起せず、伝え聞いた情報を第三者に漏らしていた。軽率な行動とのそしりを免れない。

 公開請求の対象は、野田氏の事務所の秘書が1月に仮想通貨について金融庁に説明を求めた際の面会記録だ。金融庁が仮想通貨の業務が適正かどうか調査していた企画会社の関係者も同席した。

 金融庁職員は開示請求者が朝日新聞記者である点も総務省に明かし、同省の担当者が野田氏に伝えた。野田氏は一連の経緯を認め、得た情報を報道関係者との懇談で話題にした行動を謝罪した。

 情報公開の対象が何で、請求者が誰かを、正当な理由なく外部に漏らすべきではない。制度の利用を萎縮させ、証拠隠滅につながる恐れすらある。総務省は都道府県などに請求内容を不必要に共有しないよう求めてきた。

 菅義偉官房長官は記者会見で「あってはならないことだ」と述べ、金融庁職員を処分する方針を示した。野田氏は27日の記者会見で「自身について、職責に照らしてしかるべき措置を検討している」と語った。情報公開法の趣旨に照らせば当然であり、漏洩を防ぐルールづくりを急ぐべきだ。

 野田氏の事務所が金融庁から説明を聞いた際、企画会社の関係者を同席させた対応自体にも問題がある。その後の行政判断に直接影響していないとしても、外部からは現職閣僚の立場を利用して扱いが有利になるよう金融庁に働きかけたように見える。疑念を持たれかねない行動は、議員本人も秘書も厳に慎むべきだ。

 安倍政権では森友学園への国有地売却や加計学園の獣医学部新設などをめぐって、「政と官」の関係が問われている。公正であるべき行政が、政治の圧力や官僚の忖度(そんたく)でゆがめられたとしたら問題である。野田氏は関係者に積極的に説明責任を果たすよう促してきた立場だ。

 野田氏は9月の自民党総裁選への出馬に意欲を示している。首相の座をめざす政治家として、言動には特に重い責任が伴う。情報公開制度への認識の甘さを反省するだけでなく、事務所と企画会社との関係などについてきちんと説明していく必要がある。

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