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春秋

「批判」というと、相手の主張をやっつけることだと思うかもしれない。が、もっと大切なもう一つの意味がある。自分の振る舞いが適切であるかどうかを省みることだ。科学哲学が専門の戸田山和久さんが、筑摩書房の月刊誌に連載中の「とびだせ教養」で指摘する。

▼自分の知性や理性を見極める作業のことも、批判と呼ぶのだそうだ。この意味で批判という言葉を使い始めたのが、「純粋理性批判」を著した哲学者カントだという。くだいていえば、自分で自分の思考や言葉にツッコミを入れる批判精神こそ、「教養」なのだ。大学生に向けて書いているが、深い言葉が我が身にしみる。

▼東京地検特捜部は、文部科学省の現職幹部をまたしても収賄容疑で逮捕した。出向先の宇宙航空研究開発機構(JAXA)の職務に関連して、コンサルタント会社から飲食の接待を受けた疑いがあるという。一方、金融庁は、情報開示請求者が誰かを当事者に漏洩した。霞が関の規範意識が問われる不祥事が後を絶たない。

▼文科省は、1990年代に大学の規制緩和を進めた。その結果、学部の段階から専門科目が増え、いわゆる教養教育が衰退した。戸田山さんは、「こんなことをやっていて、いいのだろうか?」と反省する能力が教養で、世の中を良くする仕事は教養の持ち主にしかできない、と説く。志ある若い公務員に一読を勧めたい。

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