スペイン 描かれた音楽(8) ピカソ「バレエ『三角帽子』のための緞帳」(部分)
国立西洋美術館主任研究員 川瀬佑介
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パブロ・ピカソは、1910年代後半から数年間、ディアギレフ率いるバレエ・リュスのために舞台美術を手掛けた。スペインの小説家アラルコンの小説に基づくバレエ《三角帽子》は、ファリャが作曲してピカソが舞台美術を手掛け、19年にロンドンで初演された。民族色豊かな踊りを取り入れた、スペイン国民楽派音楽の傑作である。
本作は初演の際に作られた緞帳(どんちょう)で、布地にテンペラ技法で直接描かれている。ピカソは...
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