2018年11月21日(水)

保護貿易と戦うG20の行動が問われる

2018/7/23 23:14
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日米欧に新興国を加えた20カ国・地域(G20)が、財務相・中央銀行総裁会議を開いた。米国が仕掛けた貿易戦争に懸念を表明し、その解決に向けた対話と行動を強化する方針を確認した。

世界経済を危険にさらす保護貿易の封じ込めに、G20はあらゆる手を尽くすべきだ。自由貿易協定(FTA)や経済連携協定(EPA)の輪を広げつつ、米国の軌道修正を粘り強く促したい。

G20が採択した共同声明は「貿易の緊張の高まりで、世界経済の下方リスクが増大している」と指摘した。過激な保護貿易にまい進する米国に対し、主要国が危機感を強めるのは当然だ。

米国が発動した鉄鋼とアルミニウムの輸入制限、中国の知的財産権侵害への制裁措置は、多くの企業や個人に負担を強いる。ただでさえ脆弱な世界経済に、余分な負荷をかけるべきではない。

トランプ米政権は確かに、G20や日米欧7カ国(G7)の枠組みをないがしろにしている。しかし保護貿易の行き過ぎにクギも刺せぬのでは、G20やG7の存在意義が問われる。

今回のG20で米国に強い圧力をかけたのはいい。ムニューシン米財務長官も主要国の不満に配慮し、共同声明の取りまとめで歩み寄らざるを得なかった。

主要国は米国に翻意を迫る努力を続けるべきだ。世界貿易機関(WTO)への提訴や様々な協議の場を通じ、不当な高関税の撤回を求めなければならない。

米国を除く11カ国が参加する環太平洋経済連携協定(TPP11)の発効や、東アジア地域包括的経済連携(RCEP)の妥結も急いだ方がいい。主要国が様々な自由貿易圏を築き、米国を不利な競争条件に追い込めば、おのずと局面が変わる可能性がある。

トランプ大統領はここにきて、中国や欧州の通貨安誘導でドルが上昇していると批判し始めた。米国発の貿易戦争が通貨戦争に波及しかねない状況である。

人民元相場を管理する中国のみならず、欧州や日本にまで為替操作のレッテルを貼るのでは困る。金融市場を不安定にするような発言は厳に慎んでほしい。

世界経済の下方リスクは貿易戦争に限らない。米国の金融引き締めによる金利の上昇や、新興国からの資金流出なども注視する必要がある。G20それぞれの適切な政策運営が欠かせない。

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