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奉仕型リーダーに支持

新風シリコンバレー ジャパン・インターカルチュラル・コンサルティング社長 ロッシェル・カップ氏

「シリコンバレー式リーダーシップ」を考えるとき、象徴的な人物としてスティーブ・ジョブズ氏をまず思い浮かべるかもしれない。彼は高い才能の持ち主だが、独裁者的な雰囲気で部下を怒鳴りつけていた典型的な「鬼上司」だったのは有名な話だ。

人事管理とグローバル人材育成を専門とするコンサルタント。シリコンバレー流の経営を理解し、学べるようにすることに注力している。著書に「日本企業がシリコンバレーのスピードを身につける方法」

今のシリコンバレーのリーダーには部下に厳しいだけの管理スタイルはあまり効果的ではなく、むしろ逆効果になっているとの認識が広まっている。その結果、ジョブズ氏の正反対といえるほどのリーダシップ理論が受け入れられてきている。「サーバントリーダーシップ」だ。

サーバントリーダーシップの基本的な概念は、リーダーは部下に「serve(仕える)」ことによって「servant(奉仕者)になるべし」ということ。上からの目線で命令したり指示したりするのではなく、謙遜的な立場から部下のために尽くすことだ。

権限を委譲して部下にやり方を任せ、仕事の詳細に手を入れたりコントロールしたりはしない。その代わりにビジョンを示して働きやすい環境を整え、部下にコーチングとフィードバックを提供する。

サーバントリーダーシップを採用しているエバーノートの最高マーケティング責任者、アンドリュー・マルコム氏は次のように説明している。「サーバントリーダーとしての自分の仕事は正しい答えを提示することではない。商品を作ることでもない。結果を出す組織をつくることだ」

この考え方がシリコンバレーで支持されてきた背景には、データを重視するハイテク企業の幹部に受け入れられやすく魅力的であることが挙げられ有効なことが確証されているためだ。サーバントリーダーシップは40年以上前から存在するコンセプトで、その効果を調査した学者が現れた。

導入している組織では、導入していない組織と比べて収益性、チームのパフォーマンス、従業員のクリエーティビティー、カスタマーサービスなどが高いことが証明されたのだ。企業活性化のための触媒になるものといえる。

サーバントリーダーシップを推進しているペイパルの会長、ジョン・ドナホー氏は「逆ピラミッド型」の考え方を好んでいる。その考え方で一番上にいるのは顧客。顧客は組織の存在理由だからだ。社内でトップにいるのは毎日顧客と接しているカスタマーサービス、営業、サポートのチームだ。他の従業員は彼らが顧客に良いサービスを提供できるように存在する。

最高経営責任者(CEO)はピラミッドの下にいる。CEOの仕事は皆が顧客に奉仕できるように障壁を取り除く。「最も才能のある人を部下に持ちたいなら、あなたよりも下で働いているように感じさせてはいけない」と話している。

従業員の低い生産性とモチベーション、パワーハラスメントの防止、イノベーションを起こす経営改善が急務なこと――。サーバントリーダーシップは日本企業が抱えるこうした課題への良い解毒剤になるのではないか。

[日経産業新聞2018年7月24日付]

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