2018年9月20日(木)

なお拭えないカジノの懸念

2018/7/22 22:47
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 カジノを中心とした統合型リゾート(IR)の運営ルールを定めたIR実施法が成立した。施行されれば、誘致を希望する自治体による計画作りなど、カジノ開業に向けた具体的な動きが始まる。

 カジノにはギャンブル依存症や反社会的勢力の介入、マネーロンダリング(資金洗浄)の懸念といった問題が指摘されてきた。だがこれまでの国会審議を通して、こうした不安が解消され、国民の理解が高まったとは言いがたい。

 IRの設置が本当に地方経済の起爆剤になるのか。依存症などのマイナス面を、どの程度抑え込むことができるのか。こうした基本的な疑問についても、納得できるようなデータや科学的な根拠が示されないまま、ここまで来てしまった感が強い。

 加えて、顧客向けにカジノ事業者が資金を融資する制度の詳細など300以上の項目については、今後、国会審議を経ない政省令で決まることになるのだ。

 なお多くの疑問や反対の声がある中での、「国策」としての導入である。政府はいままでのような不明確な対応では許されない。法律が成立したことで安堵することなく、不安を払拭するための取り組みなどを強めるべきだ。

 そもそも日本は諸外国に比べ、パチンコや公営ギャンブルなどによるギャンブル依存症の人の割合が高いという推計がある。一方でこうした人への専門的な治療施設や相談機関などの体制は乏しい。カジノ開業に前のめりになる前に、依存症対策を着実に進める必要がある。

 当面3カ所まで設置が認められるIRについて、すでに複数の自治体が誘致を表明している。住民の声を十分に聞いてほしい。

 建設場所や実施業者の選定をめぐる競争がいよいよ本格化することになるが、公正さが疑われることがあってはならない。安倍政権はIRは成長戦略の柱のひとつと言い続けてきた。選定基準は日本経済に資するかどうかでなければおかしい。

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