2018年11月21日(水)

総裁選を機にもっと幅のある自民党に

2018/7/22 22:47
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通常国会が閉幕し、政局の焦点は9月の自民党総裁選に移った。現職の安倍晋三首相のほか、石破茂元幹事長や野田聖子総務相らが出馬に意欲をみせ、3年前のような無投票での当選はなさそうだ。これは自民党にとって悪い話ではない。さまざまな人材がいることを示し、政策の幅を広げる機会になり得るからだ。

日本政治は1990年代以降、英米のような政権交代可能な二大政党制を目指してきた。政策本位でまとまった政党が競い合い、選挙で民意を問う。政策選択の過程は透明になり、国民は納得感を得やすくなるはずだった。

残念ながら、現状はそうした方向に進んでいるとは言いがたい。野党はばらばらで、強大化した自民党のおごりやたるみを指摘する声は少なくない。

「この道しかない」。安倍首相の好きなセリフだ。野党の批判を一刀両断することで、将来不安を抱く有権者を引きつける。政治手法としてはなかなか巧みだ。

他方、政策論争を低調にしたことは否めない。財政・金融、社会福祉、外交・安保などの課題をめぐり、いろいろなメニューをじっくり吟味する場が政治から失われつつあることは、日本の将来にとってよいことではない。

かつての自民党はもっと幅があった。田中角栄氏と福田赳夫氏の角福戦争は権力闘争であると同時に、積極財政と均衡財政の政策対決でもあった。支持率が下がると首相をすげ替える疑似政権交代は党の危機を何度も救った。

その意味で、今回の総裁選で、竹下派や岸田派が財政再建を重視する姿勢をみせていることは評価したい。両派が安倍首相を支持する場合でも、これまでの政策選択が適切だったのかどうかを点検するきっかけにはなる。

保守に大きく傾いた党内構図を見直し、リベラル勢力を育んでいこうとする動きもある。安倍路線を否定するほどではないが、領袖のひとりは「いざというとき、2本足の方が安心だ」と語る。

自民党総裁選にじかに関与できるのは、405人の党所属国会議員と106万人の党員だけだが、その結果はすべての国民の生活を左右する。投票に際しては内輪の論理に陥らず、有権者の声によく耳を傾けるべきだ。

自民党議員がよく口にする「責任政党」という言葉の意味をもう一度かみしめてもらいたい。

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