2018年9月26日(水)

米大統領の金融政策への介入は危うい

2018/7/21 20:41
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 ついに始まったというべきだろうか。トランプ米大統領がテレビインタビューなどで、米連邦準備理事会(FRB)の金融政策への介入とも受け取れる発言を繰り返している。不規則発言の多い大統領ではあるが、金融市場に直結する問題は慎重に扱ってほしい。

 トランプ氏は自ら指名したパウエルFRB議長を「非常に良い人物」と持ち上げながらも「必ずしも(政策運営に)賛成する必要はない。彼は金利を上げている。喜ばしくはない」と述べた。

 パウエル議長は先の議会証言で段階的な利上げ路線を続ける方針を表明したばかり。ホワイトハウスは大統領発言について「金利に関する以前からの立場の繰り返し」「大統領はFRBの独立性を尊重する」と釈明している。

 大統領はインタビューで「私は彼ら(FRB)が最善だと感じることをさせたい」とも述べたが、金融政策への介入と受け止められるような発言は望ましくない。

 米国でもかつては、ニクソン大統領などがFRBに圧力をかける例があったが、クリントン政権の時代に、大統領が金融・通貨政策に直接言及しない原則を確立し、その後の大統領は発言を控えるようになっていた。

 トランプ氏は同じインタビューで「我々の通貨は上昇している。それは我々を不利な状況に置いている」と最近のドル高にも不満を表明。20日にはツイッターで「中国や欧州や他の国が通貨と金利を低く誘導している」と他国の金融・通貨政策にもかみついた。

 型破りで振れが多い発言で有名な大統領だが、金融市場に影響の大きい分野の発言は特に慎重であるべきだ。発言後に修正しても、いったん市場が混乱すると、取り返しがつかなくなる場合もある。

 主要国で、政府から独立した中央銀行が金融政策を担う仕組みにしているのは、専門性が高く市場との対話の技術も要る金融政策はそのほうが有効という判断があるためだ。

 日本でも、安倍晋三首相は2012年末の第2次政権誕生前は「輪転機をぐるぐる回して日銀に無制限にお札を刷ってもらう」と日銀への圧力発言を繰り返した。だが、政権発足後の13年1月に「デフレ脱却と持続的経済成長」に向けた政府・日銀の共同声明をまとめてからは、具体的な政策は日銀に任せる姿勢をとっている。今後もこの方針は堅持してほしい。

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