2018年11月19日(月)

公文書はすべてを残す覚悟で取り組め

2018/7/20 23:04
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これで悪弊は断ち切ることができるだろうか。政府は20日の閣僚会議で、公文書の改ざんや隠蔽を受けた再発防止策を決めた。

各府省の監視体制を強化し、悪質な行為には免職を含む重い処分を科す。不正を減らす一定の効果はあるだろう。だが制度を適正に運用するには、行政判断にかかわるすべての文書やメールなどを保管する取り組みが必要になる。

公文書管理の新たな体制は(1)内閣府の「独立公文書管理監」を局長級に格上げし、その下に監察室を設ける(2)各府省に審議官級の「公文書監理官」を置く――などが柱だ。決裁文書を事後に修正する場合は、改めて決裁を取り直す手順も義務づける。

公務員の意識改革に向けて幹部や担当者の研修を強化し、文書管理の状況を人事評価に反映する仕組みを導入。人事院の懲戒処分指針も改め、改ざんや組織的廃棄といった悪質な行為には免職を含む処分を科すと明示する。

文書の作成から保存、廃棄、国立公文書館への移管までを電子的に行うシステムの構築も急ぐ。電子決裁への移行を加速し、文書の作成や修正の経過を履歴に残すことで不正防止につなげる。

安倍晋三首相は20日の閣僚会議で「公文書は国民と行政をつなぐ最も基礎となるインフラだ。一度失われた信頼を取り戻すことは至難だが、危機感をもって再発防止に全力を尽くす」と強調した。

財務省による決裁文書の改ざんや防衛省・自衛隊による日報の隠蔽などを生んだのは、悪い情報は外には出さないという組織の古い体質だ。一連のルール改正を経ても「残すべき公文書はどれか」という定義は曖昧さが残る。

監視体制や懲戒処分を厳しくすることで、「公文書の作成や情報の盛り込みに官僚が慎重になるのでは」との懸念もある。重要な意思決定の経過にかかわる文書や電子メール、メモなどは原則すべて保存し、一定期間後に公開する仕組みを検討すべきだ。

政府・与党は今回、公文書管理法の改正を見送った。政治家の不正な働きかけや官僚の過度の忖度(そんたく)を防ぐため、制度のさらなる見直しや罰則の盛り込みを考える余地がある。

行政情報の適正な保存と公開は、民主主義を健全に機能させる土台だ。日本は欧米諸国などに比べて遅れている現状を一刻も早く変えていかねばならない。

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