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「ユーチューバー」の審査厳しく ライバルSNS、争奪動く

先読みウェブワールド (藤村厚夫氏)

小学生が将来なりたい職業の上位に位置するという「ユーチューバー」。もちろん、グーグルが運営母体である動画投稿サイト「ユーチューブ」を舞台に活動する動画クリエーターのことだ。上位にランクインする理由は、自らの才能を生かして高い知名度と収入が稼げるからだ。国内でも年収が数億に達するユーチューバーが複数存在すると言われる。

「インスタグラム」は1時間もの動画投稿サービスを始め、ユーチューブの独擅場に切り込む(サンフランシスコで会見するインスタグラムのシストロムCEO)

いま、その稼げるクリエーターへの道が険しくなろうとしている。同時にこれに乗じて、クリエーターを巡る争奪戦も生じようとしている。

ユーチューブは、2018年2月から新たに、従来に比べ厳格な「パートナープログラム」を実施した。広告の収益配分を定めるものだ。厳格化する理由は、昨今強く指摘されるようになった「ブランドセーフティー」問題だ。

企業や公共機関の広告が、過激派ISらの政治宣伝やヘイトスピーチ、公序良俗を著しく逸脱する動画内に表示されるような事態だ。最近では、漫画作品を不法にコピー掲載して広告収入を稼いでいた「漫画村」サイト問題でも同様のことが生じた。

いたずらに過激な映像や行動で注目を集めようとするユーチューバーたちにも批判が噴出している。青木ケ原の樹海で発見した自殺者の映像を加工もせずに動画作品にしたことで問題視されたローガン・ポール氏には、アカウント停止を求める数十万人もの署名が集まった。

新しいプログラムは、視聴実績の低いユーチューバーを広告収入から排除する効果はあるが、ポール氏のような知名度の高いユーチューバーらは、実績だけなら条件を満たす。そこで、ユーチューブは動画の内容面への審査でも目視確認を行う人間を採用するなど、チェックを厳しくしていくという。当然のことだろう。

新プログラムの実施は、動画クリエーターらにとって、「稼げる」場だったユーチューブの魅力を下げる可能性もある。この際、"宝の山"のクリエーターを引き入れたいとライバルも動き始めた。

ふじむら・あつお 法政大経卒。アスキー系雑誌の編集長、外資系IT(情報技術)企業のマーケティング責任者を経て2000年にネットベンチャーを創業、その後の合併でアイティメディア会長。13年からスマートニュース執行役員。東京都出身。

最近になり、ユーチューブのライバルに突如として名乗りをあげたのが、月間利用者数が10億人を超えたことを発表した、フェイスブック傘下の「インスタグラム」だ。1時間もの長尺動画を投稿できる新サービス「IGVT」(インスタグラムTV)も同時に発表したのだ。まだ魅力的な収益配分プランこそ発表していないものの、ユーチューブの独擅場に切り込む構えだ。

インスタと同じようにアメリカで若者層の人気を誇る「スナップチャット」も名乗りをあげる。同社CEOがクリエーターらと踏み込んだ議論を行ったとの報道もある。同社は物販をクリエーターに認め、手数料をとらない手法を試すなど誘致を狙う。月間利用者数が15億人に達するというユーチューブの牙城はやすやすとは揺るがないが、稼げるクリエーターの数は限られており、その争奪戦が激化しようとしている。

[日経MJ2018年7月23日付]

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