2018年11月18日(日)

融和演出する米ロの危うさ

2018/7/17 23:01
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トランプ米大統領とプーチン・ロシア大統領が16日、ほぼ1年ぶりに会談した。終了後、両首脳は記者会見で関係改善を強調した。両国が対話を再開する意義は認める。ただ、具体的な成果がないなかで、ご都合主義的な融和の演出は世界の安定を損ねる危険をはらんでいる。

もともと、米国では首脳会談の開催に疑問の声があった。2016年の米大統領選挙にロシアが介入し、トランプ氏も共謀したのではないかとの疑惑が深まっているためだ。14年のロシアによるウクライナ領クリミア半島の併合問題についても、ロシアは譲歩の姿勢を見せていない。

それでもトランプ大統領は会談にのぞんだ。選挙介入問題に多くの時間が割かれたという。プーチン大統領から記者会見で疑惑を否定してもらうことが目的だったと指摘されても仕方ない。

トランプ大統領にとって早期に疑惑に決着をつけ、11月の中間選挙の勝利につなげる思惑だろう。折しも米司法当局は会談の直前、ロシアの情報当局者12人を起訴した。記者会見で米司法当局とロシアのどちらを信用するかを問われたトランプ大統領は「プーチン氏の否定はとても力強い」と述べ、ロシアの主張に軍配を上げた。

先週の北大西洋条約機構(NATO)首脳会議では軍事支出を巡り米欧の溝が鮮明となったばかりだ。欧州はウクライナ情勢を巡りロシアと対立している。トランプ大統領の根拠に乏しいロシア寄りの姿勢が同盟国の不安をかき立てることを米国は理解すべきだ。

そもそも米ロ首脳会談は有益なはずだ。特に核軍縮問題では、世界の核弾頭の9割以上を保有する両国が主導権を握る責務がある。21年に期限を迎える新戦略兵器削減条約(新START)を延長し、さらなる核兵器削減を進めなければならない。

両首脳は今後も会うことで一致したという。世界の平和と安定をリードする米ロ首脳会談を目指してほしい。

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