2018年12月14日(金)

日欧のEPAを自由貿易のけん引力に

2018/7/17 23:01
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日本と欧州連合(EU)が、経済連携協定(EPA)への署名を終えた。双方ができるだけ早く批准の手続きを済ませ、2019年はじめの発効を目指す。

米国発の保護貿易が世界に連鎖するなかで、日本とEUが一体となって強固な防波堤を築きたい。このEPAを成功させ、自由貿易の模範を示すべきだ。

日本とEUのEPAが発効すれば、世界の国内総生産(GDP)の約3割、貿易量の約4割を占める自由貿易圏が誕生する。世界最大級のメガ自由貿易協定(FTA)と呼ばれるゆえんだ。

関税の撤廃率(品目数)は日本側が94%、EU側が99%に達し、環太平洋経済連携協定(TPP)並みの高い自由化水準を確保した。知的財産や企業統治、政府調達などの分野でも、公正で透明なルールを定めている。

これだけの自由貿易圏を育む意義は大きい。日本は自動車や機械製品、EUはワインやチーズなどの市場拡大を期待できる。双方の企業や消費者に幅広く恩恵が及び、お互いの経済を底上げできるEPAを目指したい。

英国がEUから離脱する19年3月末までに、日本とEUはEPAを発効させたい考えだ。予期せぬ混乱を避ける意味でも、批准の手続きを急いだ方がいい。

米国は中国の知的財産権侵害に対する制裁を科し、中国の報復を招いて貿易戦争に突入した。安全保障を理由とした鉄鋼とアルミニウムの輸入制限は、中国のみならず日本やEUなどにも及び、世界中を危険にさらしている。

日本やEUは米国の保護貿易から自らの身を守るだけでなく、自由貿易の主導者としての役割も担う必要がある。安倍晋三首相とEUのトゥスク大統領がEPAの署名に際し、その意思を鮮明にしたのは評価したい。

保護貿易の広がりに歯止めをかけるため、いまはあらゆる手を尽くすときだ。日本は米国を除くTPP参加11カ国の新協定「TPP11」の発効や、東アジア地域包括的経済連携(RCEP)の交渉も急がねばなるまい。

日本とEUの連携が問われるのは、保護貿易の阻止だけではない。米国は温暖化防止の国際枠組み「パリ協定」や、イランの核開発阻止に向けた包括合意からも離脱した。EPAを礎に日本とEUの関係をより強固にし、国際秩序の安定に貢献する必要がある。

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