2018年11月21日(水)

農漁業にこそSDGsの視点が必要だ

2018/7/16 22:04
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イオンや日本コカ・コーラ、サントリーの各グループをはじめ、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」に沿った農水産物の調達原則をつくる日本企業が増えてきた。企業として社会的責任を果たすだけでなく、安定調達につながる効果も期待できるからだ。

生産者にとっては、SDGsを視野に入れないと輸出拡大はもちろん国内企業への販売も難しい時代が、到来しつつある。

国連が2015年に採択したSDGsには17の目標と、目標ごとに計169の課題(ターゲット)がある。目標のひとつとして海の豊かさの維持を掲げており、資源回復のため「20年までに漁獲を効果的に規制し、科学的情報に基づいた管理計画を実施する」ことなどが求められている。

こうした目標や課題からみると、日本の漁獲規制は厳格さに欠ける。たとえば、資源保護を目的に法律に基づく漁獲枠を政府が設定した魚種は、今年加わったクロマグロを含めて8種だけ。漁獲枠自体も緩い、との指摘がある。

規制が後手に回りがちなのは、目先の経営への影響を避けたい漁業者が多いからだ。しかし、厳格な規制をつくり守らなければ、資源の回復が遅れるうえ、企業の調達先からも外されかねない。

農漁業は自然環境と密接に結びついた産業だ。それだけにSDGsへの対応は意義が大きい。養殖事業による海洋汚染や農薬の河川流出などを防ぎ、生態系の保全に目を配らなくてはならない。

人権問題を重視する国連は、SDGsでもさまざまな課題を設けている。外国人労働者が増える日本の農漁業でも、人権への配慮は大きな課題だ。

外国人労働者への賃金不払いや過重労働などの不当な扱いは、移住労働者の権利保護、格差是正など、SDGsが定める複数の課題に逆行する人権侵害だ。

肝心なのは、生産者の一人一人が環境や人権の保護を自らの問題として意識することだ。それには、農業生産工程管理(GAP)などの国際認証を取得することが有効な手段といえる。

企業も調達先の農漁業者に意識改革を促していくべきだ。三菱商事が14年に買収したノルウェーの養殖大手セルマックは、SDGsの評価機関から海の豊かさを守るモデル企業に選定されている。こうした企業のノウハウを国内産地に広める工夫も求められる。

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