2018年11月17日(土)

透明性高い監査報告で市場の信頼向上を

2018/7/14 22:20
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企業が作った決算書類の確かさを保証する会計監査の開示の仕方が変わる。単に監査の結論だけを報告するのではなく、監査する上でどこに注意を払ったかを外部に明らかにする。透明性を高め、市場の信頼性向上につなげたい。

監査報告書は戦後約70年、「適正」や「不適正」といった結論だけを短く書く形式をとってきた。しかし、東芝などの会計不祥事が相次ぎ、監査への信頼が揺らいだ。特に株式や債券を売買する投資家から、監査の内容が見えにくいとの批判を呼んでいた。

すでに欧米は金融危機の反省から、監査情報の充実に踏み出している。日本も遅れるべきでなく、企業会計審議会(金融庁長官の諮問機関)が監査基準の改定を決め、監査に関する開示を増やしたのは妥当といえる。適用は2021年3月期決算からで、できる企業は早く適用してかまわない。

監査法人がどこに監査上のリスクがあるとみたのか、プロセスを透明にするのが見直しの柱だ。虚偽表示のリスクの高いものや見積もりの要素が大きいものなど、特に注意した事項を監査報告書に盛り込む。企業買収で生じる「のれん」や、資産の減損評価などが対象になりやすいとみられる。

見直し論議のなかで、こうした開示に後ろ向きな企業の声があったと聞く。しかし、経営側がリスクを認識して監査を受けている姿勢を明確にすることは、財務諸表の信頼性を高めるはずだ。

報告書の記述が形式的なものにとどまっては意味がない。企業それぞれ事情は異なるはずで、固有のものとして具体的に書くことが望まれる。表現も外部の人にわかりやすいものであるべきだ。

投資家をはじめ、情報の利用者もきちんと読み取る必要がある。開示事項がすぐ損失や不正リスクに直結すると即断すべきものではないだろう。見積もりの前提や経営の考え方を聞き、対話と分析を深める手掛かりにしてほしい。

監査の信頼性を高める取り組みはこれにとどまらない。なれあいなどを防ぐ意味で、監査法人を一定期間で交代させる制度も検討課題だ。監査法人自身のガバナンス(統治)も検証されるべきだ。

財務諸表を信用できてこそ、投資家は安心して取引できる。資本市場の健全な発展には、企業による情報開示の充実と、それを支える監査の品質を高めていく継続的な努力が欠かせない。

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