2019年6月19日(水)

世界を変える力持つ2社
新風シリコンバレー (フィル・ウィックハム氏)

コラム(ビジネス)
2018/7/17付
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シリコンバレーの投資の醍醐味は10年に一度、世界を変革する企業に出会えるかどうかだ。SOZOベンチャーズで1年間に投資するのはシリコンバレーで出てくる5万社の企業のうち、せいぜい3~5社だ。もちろんすべての投資先が大切だが、グーグル、アマゾン・ドット・コム、フェイスブック、アップルといったクラスの会社はそうそう出てくるものではない。

ベンチャーキャピタリスト教育機関のカウフマンフェローズの会長。データ解析やフィンテック、クラウドなどのIT(情報技術)のスタートアップに投資するSOZOベンチャーズを2011年に設立。

ベンチャーキャピタリスト教育機関のカウフマンフェローズの会長。データ解析やフィンテック、クラウドなどのIT(情報技術)のスタートアップに投資するSOZOベンチャーズを2011年に設立。

世界を変える1万分の1の勝ち組の会社は誰もが一緒に仕事をしたく投資もしたい先。投資の選択権は起業家側にあり、投資家にはない。投資家は付加価値を出し、いかに優良な起業家に選んでもらうかというセリングゲームが年々顕著になっていると感じる。

SOZOにはシリコンバレーで最近殊に話題になっている2社の投資先がある。まずはズーム。デジタル時代の対面コミュニケーションツールを提供し、新しいコミュニケーションインフラのデファクトとなりつつある。すでにフォーチュン500企業の58%が利用し、有料・無料ともに利用者が全世界で飛躍的な勢いで伸びている。

ズームは次世代のインフラや人工知能(AI)をフル活用し、柔軟性の高いワークスタイルやコミュニケーションなど、デジタル社会で働きやすい環境を創り出している。同社が関わるすべての人に幸せを伝えようとするコアバリューでも知られ、創業者は企業の口コミ情報を扱うグラスドアが実施した従業員が選ぶCEO(最高経営責任者)ランキングで1位に選ばれている。

もう1社がコインベースだ。フィンテック分野の最有力投資家の一人であるユニオン・スクエア・ベンチャーズのフレッド・ウィルソン氏が古くから関わってきた企業で、世界最大の仮想通貨取引所に成長した。

我々が2年前に投資した際には仮想通貨への風当たりは今以上に強かった。そんな中、世界的な金融インフラになることを目指し、信頼あるサービスを構築していくという金融サービスの王道を行く高い視野と長期的なビジョンに感銘を受けた。同社は米財務省が管轄する金融法や資金決済法に加え、米証券取引委員会(SEC)による証券取引法にも準拠。連邦法だけでなく、州法や国際法、さらに送金法やマネーロンダリング法や各種免許にもより積極的に準拠していく姿勢を打ち出している。

驚くのがコンプライアンスの体制だ。取り扱いを4通貨に限定し、法務チームに70人以上を置いていることなど、今までの金融企業以上にコンプライアンスを遵守しようとしている。体制を評価し、ニューヨーク証券取引所や日本の三菱UFJ銀行といった企業が出資している。仮想通貨やブロックチェーンを世の中を変革するインフラにする企業に成長してくれることを期待している。

シリコンバレーでは一味違ったイノベーションが次々に現れ、豊富な人材や資金、厚いビジネス経験を持つ人々がバックアップしている。日本からも大きなイノベーションのヒントを見に来てもらえればと思う。

[日経産業新聞2018年7月17日付]

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