2018年11月20日(火)

春秋

2018/7/13 1:08
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山田太一さんが脚本を手がけた「3人家族」は、往年のテレビドラマの傑作に数えられる。放映は1968~69年だから、ちょうど半世紀前だ。母が亡くなり父親と息子2人の世帯と、その逆に、父が蒸発して母親と娘2人の家庭。2つの家族のつながりの物語である。

▼タイトルを見て、ひとりっ子家庭の話かと勘違いするのは昨今の感覚だろう。親はひとりでも子どもは2人――当時の「常識」が作品に投影され、ストーリーを支えている。思えば戦後のベビーブームの後に、合計特殊出生率が2.1前後の安定期が20年ほども続いた。ドラマにはそんな時代の雰囲気がくっきりと浮かぶ。

▼やがて第2次ベビーブームが訪れ、その終焉(しゅうえん)とともに出生率は落ち込んでいった。いまではよく知られた経緯だが、平成の初め、危機のサインを誰もが見過ごした。近年は少し回復したものの、もう手遅れというほかない。総務省が発表した今年1月1日現在の人口動態調査によれば、日本人の総人口は9年連続で減った。

▼かくなるうえは、社会のありようを変えていくしかあるまい。ドラマ「3人家族」は男所帯の長男と、女所帯の長女が結ばれて終わる。いま後期高齢者になるあの夫婦は、子どもを2人は生んだだろう。その子たちは現在40代後半。子どもは1人か、未婚のままか……。わずか1世代の移動の間に、激変したこの国である。

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