2018年11月16日(金)

世界の安定にはNATOの結束が必要だ

2018/7/12 23:08
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北大西洋条約機構(NATO)が米欧の安全保障の基盤となり、経済的な繁栄を支えてきたことは言をまたない。それをトランプ米大統領が揺るがしている。日本はもちろん、世界の安定に悪影響を及ぼす同盟の弱体化は避けなければならない。

NATOは11、12両日、首脳会議を開いた。焦点の国防費の負担について「2024年までに各国の国内総生産(GDP)比2%以上にする」という目標を確認した。達成済みなのは英国などわずかだ。加盟国は実現に向けて努力しなければならない。

ただ、トランプ大統領は4%への引き上げを一方的に要求した。さらにロシアから天然ガスの輸入増加を計画しているドイツに対して「ロシアの捕虜」と批判した。同盟国の結束をはかる場で、動揺を誘う発言は慎むべきだ。

米欧の溝が深まることで最も得をするのはロシアだ。プーチン大統領はソ連の崩壊を「20世紀最大の地政学上の悲劇」と位置づけている。冷戦時代に東側の軍事同盟だったワルシャワ条約機構に加盟していた東欧諸国やソ連の一員だったバルト3国はいずれもNATOに加盟した。

ロシアはこれに一貫して異を唱え、米国主導の秩序にくさびを打ち込もうとしてきた。14年のウクライナ領クリミア併合はその象徴だ。いまもなおウクライナ東部ではロシアが支援しているとみられる武装勢力が活動している。

旧ソ連諸国や東欧諸国の一部では親ロシア勢力を後押ししているともされる。

中東や西アジア情勢は不安定さが残る。国際テロの危険はなくなっていない。NATOの存在意義は大きいままだ。

欧州の次はアジアという疑念も出てくる。北朝鮮との関係改善に動き出したトランプ大統領は8月の米韓軍事演習の中止を韓国と相談なしに表明した。中国の台頭もにらみ、アジアの軍事バランスの変化にも気を配らねばならない。

トランプ政権の「米国第一主義」は当面続くかもしれない。日本は欧州やカナダ、オーストラリアなどと連携を確認し、強めることが肝要となる。既存の秩序に力で変更を迫る勢力に誤ったシグナルを流すべきではない。

来年はNATOが発足して70年の節目を迎える。自由主義体制の擁護をうたった軍事同盟関係の重要性はなお変わらない。

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