2018年9月20日(木)

春秋

2018/7/12 1:15
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 行政の要諦は激変緩和だ――。1980年代なかば、当時の宮崎辰雄・神戸市長からうかがった言葉である。そのときは「もう少し見出しにとりやすい言い回しができないものか」と身勝手な不満を胸に覚えたのだけれど、歳月を経て味わい深く思い出すようになった。

▼みずから体験した「激変」の例として宮崎さんがあげたのは、38年の阪神大水害と45年の神戸大空襲、そして敗戦だった。なかでも大水害について熱を込めて語ったのは、地方のトップとしては当然だろう。現在われわれが目にする緑ゆたかな六甲山は、大水害を二度と招かないよう治山治水につとめてきた結果だそうだ。

▼いまから振り返ると、市長として現役だったころの宮崎さんは恵まれていた、という気もする。バブル崩壊は退任の翌年。阪神大震災はさらに5年後だった。「神戸に地震が起きるとは考えていなかった」。引退していた宮崎さんはそう語ったと伝えられる。近年よく耳にする言葉を使うならば、想定外だったわけである。

▼西日本をおそった豪雨は平成で最悪の水害となった。昨年は九州北部で豪雨。おととしは熊本県と大分県ではげしい地震。2015年は関東で豪雨。14年は御嶽山の噴火と広島市の集中豪雨。深刻な自然災害は毎年のように起きている。「激変緩和」の最前線に立つ地方自治体、わけても首長がになう責任は、何とも重い。

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