2018年7月23日(月)

不正を繰り返す日産の体質

社説
2018/7/12付
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 日産自動車でまたも不正が発覚した。完成車検査において、社内基準から外れた排ガスや燃費の実測値などを書き換え、基準を満たしているかのように装う事態が横行していた。昨年明らかになった無資格検査に続く不正であり、社会と消費者の信頼を回復するために、原因解明と再発防止策の徹底が欠かせない。

 完成車検査は出荷直前の新車からサンプルの車両を抜き取り、車台の上で走らせて、排ガス中の有害物質の量や燃費を測定する。

 日産によると、確認できたものだけで、2013年以降、国内5工場で19車種1171台について、排ガス成分の値や検査時の気温などのデータが都合よく書き換えられていた。これは検査した車の半数を超える台数であり、データ改ざんが日常的に行われていた実態が浮き彫りになった。

 驚くのは昨年の無資格検査問題で法令順守の重要性が指摘され、加えて同業のSUBARU(スバル)で今回と同様の不正が発覚し、社会問題化したのを横目で見ながらも、直近まで書き換えを続けていた感覚の鈍さだ。

 検査を担う現場の問題なのか、手間と費用のかかる再検査を嫌がる組織体質や経営上の圧力があるのか、不正の背景解明が急務だ。

 再発防止については、日産自動車九州の工場では不正が確認されなかった事実が手掛かりになるだろう。九州では検査経験が豊富な人が監督者を務めており、それが不正の抑止につながったという。裏返せば、他工場では監督体制に不備があったということだ。

 今後の対応について、日産は不正を認めつつも、国の定める保安基準は満たしており、リコール(回収・修理)は必要なく、燃費などのカタログ値も変えないという。この判断が正しいのか、国土交通省は厳しく検証してほしい。

 不正を発表した9日の会見に、西川広人社長が不在だったのも疑問である。「経営トップが自ら説明するほどの重大案件ではない」と考えているのだろうか。

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