2018年9月20日(木)

英国はEU離脱へ穏健路線の堅持を

2018/7/11 23:03
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 欧州連合(EU)との離脱交渉の期限切れが近づく英国で、路線対立が激化してメイ政権が揺れている。首相がEUとの関係を重視する穏健な離脱方針を打ち出したところ、反発する重要閣僚が相次ぎ辞任する事態になった。

 混乱が深まり、EUと合意できないまま無秩序な離脱に追い込まれれば、内外の経済に大きな影響が及ぶのは必至だ。メイ首相は無責任な要求を掲げる強硬派に屈することなく、穏健で現実的な路線を貫き、来春に予定するEU離脱を円滑に実施してほしい。

 政権内の深刻な亀裂は、メイ首相が先週開いた特別閣議で新たなEUとの交渉方針を示したことが発端となった。離脱後にEUとの間で、鉱工業製品などを対象とする「自由貿易圏」を創設することなどを提案した。

 EUの単一市場や関税同盟からは抜けるものの、実質的に関税同盟に残るのに近い内容を想定しているとみられる。

 離脱後にEUとの間に高い関税や製品規格の違いが発生すれば、英国に進出している企業への影響は大きい。メイ首相が産業界の要望に応じてEUとの経済関係を重視する案を採用したのは、前向きな一歩と評価できる。

 一方、この提案にデービスEU離脱担当相とジョンソン外相が反発し、次々と辞任した。ジョンソン氏はEUと決別して英国の主体性を確保すべきだと主張する「強硬離脱派」の筆頭格だ。

 メイ首相の穏健路線では離脱が中途半端となり、英国はEUの植民地のようになると批判した。

 だが、こうした強硬派は建設的で有力な代案を示しているわけではない。EUと結ぶ離脱協定の実質的な合意期限とされる今秋が迫る中で、不満を言い募るばかりでは責任ある態度とは言いがたい。

 メイ首相の新方針には、EUにとって「いいとこ取り」に映る内容も含まれる。それでも首相がようやく、より現実的な案を示したことを踏まえ、EU側も交渉を前進させる方策を探るべきだ。

 離脱交渉が停滞し、企業の間では先を見通せないことへの不安が募っている。英国がEUと合意できず無秩序離脱に陥る恐れが強まれば、外国企業は事業の見直しを加速せざるをえなくなるだろう。

 強硬な離脱路線は害が多く、EUとの合意までに残された時間は短い。このことを関係者は自覚する必要がある。

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