2018年11月17日(土)

春秋

2018/7/11 1:16
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かつて「看護婦さん」といえば、純白のナースキャップにワンピースというスタイルが定番だった。最近はより動きやすく機能的に、などの理由でキャップは着用せず、ズボン姿のことが多い。男性看護師が増えていることもあるのだろう。時代の移り変わりを感じる。

▼ナースキャップの廃止とともに、戴帽式も減りつつあるようだ。看護学校などで、病院での実習に出る前の学生たちにキャップを授ける儀式のことだ。そこで唱和するナイチンゲール誓詞は「わが手に託されたる人々の幸のために身を捧(ささ)げん」と結ばれる。入院などする立場になれば、まさに看護師に身を託すことになる。

▼そんな信頼と感謝の思いを揺るがすような事件である。横浜市の病院で入院患者の不審な死が相次ぎ、点滴に消毒薬が混入された疑いが強まっていた。逮捕されたのはこの病院の看護師の女だった。容疑を認め、「20人くらいに入れた」という、にわかには信じがたい供述をしているという。事実なら、ただ戦慄を覚える。

▼逮捕された看護師に、戴帽式で誓詞を口にした若い日があったかどうかは知らない。だがこれまでの仕事の中で、看護師としての誇りと喜びを新たにする、いくつもの「ありがとう」を耳にしてこなかったのだろうか。白衣の天使ならぬ人間であれば、不平や不満があって当然。それがなぜ、悪魔の所業につながったのか。

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