2018年7月21日(土)

消費増税対策の財政ばらまきはやめよ

社説
2018/7/11付
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 政府は10日、2019年度予算の概算要求基準を閣議了解し、予算編成作業がスタートした。19年10月に予定する消費税率引き上げによる需要変動をならすための予算要求には別枠も設ける。増税対策に名を借りたばらまきにならないよう注意が必要だ。

 安倍晋三首相は9日の経済財政諮問会議で「消費税率引き上げに伴う機動的な対応をはかるための措置の具体的な内容の議論を進めてほしい」と指示した。

 首相の念頭には、前回14年4月に5%から8%に消費税率を上げた際の、駆け込み消費とその後の反動減による景気悪化がある。

 当初予算から対策を盛るのは、19年度に入ってからの補正予算での対応では、10月の税率上げ時に予算執行が間に合わないという判断がある。

 消費増税に伴う景気の変動を抑えるのは望ましいが、その対策は予算措置以外の対策を中心にすべきだ。消費増税時に一斉に商品価格が上がらないように、小売価格への転嫁指導を見直すなど、従来型の財政出動に頼らない手法を考えてほしい。民間企業も増税後に魅力的な新商品を投入するなど、消費落ち込みを防ぐ知恵をもっとしぼってはどうか。

 今回の消費増税は14年に比べ上げ幅も小さく、増税分を教育無償化などの歳出に回すので、財政引き締め効果は前回ほど大きくないとの見方も多い。財政支出は真に効果があるものを厳選すべきだ。

 好調な企業業績を背景に2017年度決算の一般会計税収は前年度比3.3兆円増の58.8兆円に回復した。90年代前半のバブル期並みの水準に戻ったといっても、歳出のほうは社会保障費を中心に右肩上がりで増えている。税収が回復したからといって、財政規律がすぐに緩んでしまうようでは困る。

 来年度予算編成では社会保障費用の抑制も大きな焦点になる。16~18年度の3年間は伸びを合計1.5兆円に抑える目標があったが、19年度以降は目標を設定していない。高齢化で増え続ける社会保障費抑制のため制度改正も含めた改革を急ぐべきだ。

 西日本を襲った記録的豪雨の被災者支援のため、政府は10日、18年度予算の予備費を使用する方針を決めた。災害復旧や防災対策など真に必要な歳出をしっかり手当てするのは当然だ。そのためにも非効率な歳出は抑えるべきだ。

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