2018年11月20日(火)

米中は制裁を撤回し対話で摩擦緩和を

2018/7/7 1:10
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米国と中国による貿易戦争の号砲が鳴った。多くの国を巻き込み、世界を危険にさらす暴挙といわざるを得ない。両国は制裁や報復を直ちに撤回し、対話を通じて摩擦を緩和すべきだ。

米国は中国の知的財産権侵害への制裁措置として、340億ドルの輸入品に25%の高関税を課した。中国も同じ規模と税率の報復措置を発動し、二大経済大国の衝突が避けられなくなった。

様々な手口で技術や情報を奪う中国の知財侵害は悪質だ。しかし米国が日本や欧州と協力して改善を迫る努力を怠り、一方的な制裁に動くのは容認できない。

中国が徹底抗戦の姿勢を崩さず、火に油を注いでいる面もある。トランプ米大統領は中国からの輸入品全てに高関税を課す可能性も示唆しており、双方の行動がエスカレートするのが心配だ。

米国は貿易不均衡の拡大だけでなく、ハイテク産業の育成計画「中国製造2025」も批判している。経済や技術の覇権を握ろうとする中国への強硬姿勢が、トランプ政権の下で先鋭化しているのは間違いない。

中国は共産党の一党独裁下で、異質な経済体制を敷いてきた。出資比率の規制や技術移転の強要を通じて外資の参入に壁を設け、資本取引の自由化に尻込みしている。習近平政権は民営企業や外資系企業の管理強化にも動く。こうした問題が残る限り、貿易摩擦の火種は消えそうにない。

だからといって制裁や報復に走るのでは、お互いの首を絞めるだけだ。輸出入のコストアップが企業に供給網の見直しを迫り、自動車や農産物の値上がりが消費者の生活を圧迫しかねない。世界経済や金融市場が混乱し、広範な影響を及ぼす恐れもある。

1930年に米国で成立したスムート・ホーリー関税法は、保護貿易を拡散して大恐慌の傷を深め、第2次世界大戦の一因にもなった。その轍(てつ)を踏まぬよう、米中の自制を求めたい。

米中の貿易戦争は日本にも打撃を与える。たとえば中国の対米輸出にブレーキがかかれば、日本製の工作機械や半導体製造装置などの需要が伸び悩む。ファナックコマツの株価が低迷しているのも、その懸念が影響している。

米国は鉄鋼とアルミニウムの輸入制限を、中国以外の国にも発動した。日本や欧州が連携し、保護貿易を封じる必要もある。

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