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動くトヨタ進化論 トヨタ産業技術記念館(名古屋市)

おもてなし 魅せどころ

2027年のリニア中央新幹線の開業を控え、高層ビルなどの再開発が進む名古屋駅。そこから車でわずか5分の場所に、観光からは一見すると縁遠そうだが、訪日観光客がこぞって訪れるスポットがある。

織機から自動車へ発展を遂げたトヨタグループの歴史を伝える「トヨタ産業技術記念館」(名古屋市)。グループ発祥の地である旧豊田紡織本社工場跡地に1994年に開館した。東京ドームとほぼ同じ広大な敷地を繊維機械と自動車のエリアに分け、創業からの歴史をたどることができる。

見どころはグループ創始者の豊田佐吉氏が発明したG型自動織機や初の量産型乗用車だろう。歴代のトヨタ車がずらりと並び、ボディーやシャシーの組み付けも見学できる。織機や蒸気機関も実際に動き、ものづくりに関心のある訪日客の心をつかんで離さない。

6月下旬の土曜日、館内の外国人向けガイドツアーに同行すると、欧米などからの観光客約20人がスタッフの解説に聞き入っていた。ニュージーランドから来たカレン・ショーさん(52)は「織機の展示がお気に入り。エンジニアの独創性を知ることができて興味深い」と満足そうに話す。

記念館の広報担当者は「語学が堪能なスタッフを採用し、訪日客の受け入れ体制を整えてきた」と胸を張る。今夏にはスマートフォン用の音声ガイドアプリ(日英中韓の4カ国語)もリリースする。入り口付近に整備した無料Wi-Fiを使えば、誰でも気軽にダウンロードができる。

効果は如実に表れ、外国人客数は全体の来場者の2割を占めるまでに伸びた。旅行口コミサイト「トリップアドバイザー」が6月に発表した外国人に人気の日本観光スポットではトップ30に入った。京都の有名観光地にもひけを取らない認知度を誇る。

現在はイスラム圏から訪れる来場者への対応に力を入れている。7月には礼拝室を新たに設けた。館内の一部のレストランではハラル対応のカレーやパンなどを提供している。愛知県内の施設の先陣を切る形で、おもてなしの質の向上を図ってきた。

名古屋市は足元で年間約90万人の訪日客を150万人まで引き上げる目標を掲げる。リニア開業後のインバウンド需要を取りこぼさないためには、「世界のトヨタ」の吸引力を市内にいかに波及させていくかが重要になる。

(名古屋支社 高橋耕平)

[日経MJ 観光・インバウンド面 2018年7月8日付]

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