2018年9月20日(木)

教育行政の信頼失墜させる局長の逮捕

2018/7/5 23:13
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 特定の大学に便宜を図る見返りに自分の子どもを合格させてもらっていたとして、文部科学省の現職局長が逮捕された。にわかには信じがたいほどの、前代未聞の不祥事だ。

 東京地検特捜部に逮捕されたのは、文科省の科学技術・学術政策局長だった佐野太容疑者である(逮捕後、大臣官房付)。次官候補に名前が挙がるエリート官僚だという。疑いが事実であれば、自らの職責の重さにあまりに無自覚で、短絡的な行動に驚くほかない。

 特捜部によると、佐野前局長は2017年5月に東京医科大の関係者から、文科省が実施する支援事業の対象に選んでもらうよう依頼を受けた。その見返りに、18年2月の入試で同大を受験した子どもの点数をかさ上げして、合格させてもらった受託収賄の疑いが持たれている。「我が子の合格」が賄賂に当たると判断された。

 文科省をめぐっては昨年、大学などへの違法な再就職のあっせんが大きな問題となった。佐野前局長が東京医科大から依頼を受け便宜を図ったとされる時期は、再就職あっせんの全容が明らかになった直後にあたる。当時、佐野前局長は官房長で、綱紀粛正と再発防止に責任を負う立場にいた。

 天下り問題と今回の事件の背景は重なる。個々の大学の設置認可や交付金、助成金の配分など文科省は大学に対し強い権限を持つ。そうした中、文科省は大学を再就職先などとして利用し、大学は同省とのパイプづくりに腐心する。持ちつ持たれつの癒着関係が生まれてはいないだろうか。

 私学助成金の配分は、日本私立学校振興・共済事業団が担う。学生数などに応じた「一般補助」は機械的に割り振る一方、「特別補助」は専門家が対象となる大学を審査する建前になっている。

 今回、問題になった「私立大学研究ブランディング事業」はまさにこの特別補助にあたる。文科省幹部の意向が反映されないはずの選定プロセスなのに、なぜ東京医科大の依頼に沿う形で同大が選ばれたのか。その経緯について徹底的に解明する必要がある。

 佐野前局長が逮捕された4日は、国家公務員の総合職を目指す学生たちにとって、官庁訪問の解禁日だった。不祥事に揺れ、批判の的になっている国家公務員の世界を、それでも公に尽くそうと志す若者たちがいる。文科省は何といって申し開きするつもりか。

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