2018年7月20日(金)

EV普及へ電池原料の供給不安なくせ

社説
2018/7/5付
保存
共有
印刷
その他

 電気自動車(EV)などの生産が増えるとともに、リチウムイオン電池の原料需要が拡大し、希少金属のリチウムやコバルトが値上がりしている。官民を挙げて、供給不足が起きないように対応を急ぐ必要がある。

 コバルトは国際指標となるロンドン市場の取引価格が2年前の4倍に上がった。リチウムも過去3年で2倍強に値上がりしているが、最近ではコバルト高騰の方がより深刻だ。

 原料高がコストを押し上げることで、車載電池やEVの価格も下がりにくくなっている。このままでは今後のEV普及に影響しかねない。コバルトは工具に使う超硬合金などの製造にも欠かせず、価格高騰や供給不足は一般産業にも波及する。

 コバルトの確保がリチウム以上に難しく供給不安が生じやすいのは、政情が不安定なアフリカのコンゴ民主共和国(旧ザイール)が世界生産の6割を握っているからだ。資源はザンビアやオーストラリア、カナダなどにもあるが、品位の高い優良な鉱山はコンゴに集中しているという。

 さらにコンゴは外資を規制し、資源を自国企業で囲い込む姿勢を強めている。人権団体はコバルト鉱山での児童労働も指摘する。こうした問題を是正するよう、各国が連携して同国に働きかける国際的な努力は重要だ。

 年間1万トンほどコバルトを消費する日本の企業は、供給が不安定になる場合への備えも怠れない。それにはレアアースの主産国である中国から対日供給が停滞した際の対策が参考になる。

 もっとも効果的なのは、リチウムイオン電池の材料として使用するコバルトの量そのものをなるべく減らす対策だ。車載電池では次世代の高性能な「全固体電池」の開発が進んでいるが、材料にコバルトを使わない技術革新も日本企業は並行して加速すべきだ。

 大型の電池を搭載するEVやハイブリッド車の廃車はまだ少ない。ただ、将来を見据え、希少金属を効率よく再生利用するリサイクル体制の整備は急いでほしい。

 国家備蓄を含め国内で保有する在庫を増やす対応も考えられる。ただ、レアアース対策では中国の供給が再開し価格が急落した時に在庫の評価損を計上した企業も多かった。希少金属につきまとう価格急変のリスクにどう対応するかも官民で話し合ってほしい。

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報