2018年11月17日(土)

メキシコが迎えた歴史的転機

2018/7/3 23:10
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メキシコの大統領選挙で、新興左派の野党、国民再生運動をひきいるアンドレス・マヌエル・ロペスオブラドール氏(64)が地滑り的勝利をおさめた。既存の二大政党に属さない大統領の誕生は1929年以来初めて。

同時に投票のあった国会議員選や地方の首長選でも左派が躍進した。12月に就任する次期大統領は政策推進の強固な足場も得る。

三度目の正直となったロペスオブラドール氏はエリート層の出身でなく、対米批判など過激な言動で知られてきた。トランプ米大統領やベネズエラのチャベス前大統領になぞらえる声もある。

石油産業の開放政策を反転させたり、ばらまき的な福祉政策を進めたりするのでは、といった懸念の声は強い。北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉を含め米国とどう向き合うかも心配だ。

ただ、今回の選挙戦では過激な発言を控え、財政規律や中央銀行の独立を強調するなど、実務的な中道路線への軌道修正がうかがえた。実際の政策を注視したい。

現職のペニャニエト大統領は自由主義的な経済改革を進めたが、主な輸出品である原油の価格低迷などで成長率は伸び悩んだ。夫人の絡んだ汚職疑惑や麻薬カルテルの横行など治安悪化もあり、支持率は低空飛行をたどった。

メキシコでは1929年から2000年まで制度的革命党(PRI)が政権の座にあり、その後は右派の国民行動党(PAN)とPRIが政権をになってきた。

歴史的な左派政権の登場は既存の大政党やエリート層への有権者の失望の表れといえる。根深い汚職に切り込んで治安をたて直し、政治への信頼を取り戻すことは、次期政権の最重要課題だろう。

米国市場をにらんだ自動車産業を軸に、メキシコに進出した日本企業は1000を超える。環太平洋経済連携協定(TPP11)を真っ先に批准した国でもあり、保護主義に対抗する仲間としても日本にとって大切だ。建設的な関係を次期政権と築く必要がある。

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