2018年11月13日(火)

人口減を直視し新たな自治の姿を探れ

2018/7/3 23:10
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高齢者人口がピークを迎える2040年ごろの経済社会を念頭に、人口減少時代でも自治体が行政サービスをしっかりと提供できる体制を探る。こんな趣旨で総務省が設けた有識者からなる研究会が3日、報告書をまとめた。

40年ごろには日本の人口は毎年100万人近く減少する見通しだ。地方では小中学校や高校の廃校が加速し、公共交通や水道事業などの運営も一層厳しくなる。老朽化した社会資本を更新したくても、財源がなく、人材もいない。

一方、東京などでは高齢者が急増する。都市部は家族や地域で支え合う力が弱いので、介護人材や施設の不足がさらに深刻になる。

自治体そのものも1971年から74年生まれの団塊ジュニア世代が40年ごろまでに退職する。それを補う職員の確保は難しい。

研究会はこうした将来像を念頭に、「スマート自治体」への転換をまず打ち出した。様々な情報システムや事務作業をできるだけ標準化し、人工知能(AI)などを使って自動で処理する。現在の半分の職員でも対応できる体制づくりを具体的な目標として掲げた。

ひとつの市町村がすべての仕事を担うフルセット主義からの脱却も求めた。都道府県が市町村の業務を一部代行したり、複数の市町村が連携して圏域単位で取り組んだりすることを提案している。時代に合わせて、自治制度を抜本的に見直すということだろう。

研究会がまとめた改革の方向性は理解できるが、自治体間の連携ひとつとっても、すでに様々な仕組みがある。消防のようにある程度広域化が進んでいる分野もあるが、形骸化している制度も多い。人口が増えている東京圏などは広域で連携する機運すら乏しい。

圏域単位で取り組む場合、実効性をどう担保するのかという問題もある。研究会が一例としてあげた都市計画などは、複数の市町村で計画を擦り合わせる程度では十分な効果はあがらないだろう。

今回の報告書を受けて、政府は地方制度調査会を立ち上げ、具体的な法改正の検討に入る。まず必要なのは、全国の自治体が将来の厳しい状況を直視し、新たな自治の枠組みを真剣に検討することだ。民間や地域住民の力を最大限に取り込む工夫も欠かせない。

国が制度をつくって自治体に押しつけてもうまくいかないだろう。行政分野ごとに丁寧に検討し、それを積み上げたい。

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