2019年5月25日(土)

ICT専門職大に抱く夢
SmartTimes (久米信行氏)

コラム(ビジネス)
2018/7/4付
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ICT(情報通信技術)を武器に全員が学生時代に起業する。そんな独創的な大学が、東京都墨田区に創設される。しかも学生の3分の1以上は海外からの留学生にすることを目標にするという。

1963年東京都墨田区生まれ。国産Tシャツメーカー久米繊維工業の三代目会長。明治大学商学部「ベンチャービジネス論」講師、多摩大学経営情報学部「SNS論」客員教授

1963年東京都墨田区生まれ。国産Tシャツメーカー久米繊維工業の三代目会長。明治大学商学部「ベンチャービジネス論」講師、多摩大学経営情報学部「SNS論」客員教授

2020年に開学を目指すi専門職大学(仮称・設置構想中)の理念に共鳴し、私も教壇に立つことになった。実践教育の理想形が、この大学でなら実現できると考えたからだ。

これからは起業も経営もICT活用無しでは考えられない。しかし、多くの大学の商学部、経営学部が十分に対応しているとは言い難く、下手をしたらパソコンソフト程度しか活用していないところもある。笑えない話だが、スマートフォンしか使えない大学生、技術に疎い大学教員も少なくないはずだ。

新大学の設立母体は、プログラマー、CGアーティスト、ゲームデザイナーなど延べ11万人ものICTスペシャリストを輩出してきた専門学校を経営する電子学園である。さらに、教員内定者の多くが独自のビジネスキャリアを持ち、ICT活用や事業開発の現場で体験を重ねてきた実務者だ。専門職大学の名にふさわしい実務教育がゼロベースで創造される。

何よりユニークなのは積極的な産学連携によるインターンシップだ。3年生は時間の半分近くを、連携企業でのプロジェクトベースのアクティブラーニングに充てる。ICT関係の企業だけではなく、墨田区が誇るものづくりや商業・サービスの中小企業とも連携するのである。

地元の商工会議所で新大学の説明を受けた時、多くの経営者がインターンに強い関心を示した。学生との協業で、中小企業の弱点でもある自社商品・サービスの国際化とICTを活用したマーケティングを強化できると直感したからだ。

例えば、私たち久米繊維の場合なら、留学生と共に各国別に好まれる色やデザインのTシャツを開発・改良することが期待できるし、現地の言葉で発信する販売サイトやSNSが構築できたらありがたい。同様のニーズは江戸切子でも、革靴でも、商品を問わずあるはずだ。

連携先の中小企業が後継者や幹部社員を新大学で学ばせ、ICT活用の力を身につけるとともに海外ネットワークの構築につなげる。インターンで心通わせた留学生を社員に迎え、新事業を進める。さらには自社の経営理念や商品を愛してくれる留学生を後継者として迎える。こうした次の展開も考えられる。

新大学の開学は20年春だが、既に大学説明会と模擬講義が始まっている。私も新大学で行う予定の夢あふれるプロジェクトを紹介して同志を募っている。普通の大学の普通の学生になるのでは満足できない若者、あるいは子どもも普通の学生にしたくない方は、ぜひ参加を検討してほしい。

[日経産業新聞2018年7月4日付]

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