2018年7月20日(金)

企業は足腰鍛える投資加速を

社説
2018/7/3付
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 企業の景況感の改善が一服している。日銀が発表した6月の短期経済観測調査(短観)によると、最も重視される大企業・製造業の業況判断指数はプラス21となり、3月の前回調査に比べて3ポイント悪化した。2四半期続けて同指数が低下するのは5年半ぶりだ。

 中東情勢の緊張を背景とした原油高など原材料費の値上がりが企業の景況感に水を差している。米国を震源とする貿易摩擦への懸念が強まり、関連産業の裾野が広い自動車などで悪化が目立っている。景況感にとどまらず、実体経済の変調につながらないか、注視が必要な局面である。

 ただし景況が「良い」と答えた割合から「悪い」とする割合を差し引いた指数の水準は、なお大幅なプラス圏にある。製造業に比べてホテルや旅行業など非製造業は堅調に推移しており、景気の拡大基調が腰折れすると判断するのは時期尚早だろう。

 もう一つ、今回の日銀短観で注目すべきなのは企業の設備投資意欲の強さだ。今年度の計画は大企業・全産業で前年比13%の大幅増を見込む。6月時点の集計としては、1980年代のバブル期を上回る積極的な計画となっている。従来型の生産能力の増強にとどまらず、省力化投資を重視しているのが特徴だ。

 日本は人手不足という、放置すれば経済成長を制約する構造問題を抱えている。企業は先を見据えて、生産性を高めるために必要な投資を着実に実行していくことが大切だ。政府は働き方改革の深化や規制緩和の一段の推進を通じて、側面支援していくべきだ。

 世界景気の最大の波乱材料に浮上した米トランプ政権の独善的な貿易政策は予想しがたい局面が続く。11月の米中間選挙まで、という楽観論は後退し大統領自身の再選をねらう2020年まで貿易摩擦が長期化する可能性もある。

 日本企業は生産性の向上で足腰を鍛え、世界経済の動向をめぐる波乱含みの展開に機動的に対応していくことが欠かせない。

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