2018年7月20日(金)

イラン原油の禁輸回避を連携して探れ

社説
2018/7/3付
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 トランプ米政権が日本や中国、欧州諸国などに、イランからの原油輸入を停止するよう求めてきた。米国のイラン核合意からの離脱に伴い、再び発動する対イラン制裁の一環だという。

 理不尽な要求である。米制裁への安易な同調は中東の混乱を助長し、世界経済を不安定化させる。日本は関係国と連携し、禁輸を回避する道を探らねばならない。

 米政府はイランとの原油取引に科す制裁の猶予期限を11月4日と定めた。それ以降も原油輸入を続けた場合、第三国の企業や個人であっても制裁の対象になる。

 日本は現在、石油輸入量の約5%をイランから輸入している。輸入に携わる石油会社としては、米国でのビジネスから締め出される危険がある制裁は、深刻に受け止めざるを得ない。

 菅義偉官房長官が「日本企業に悪影響が及ばないよう、関係国としっかり協議していく」と述べたのは当然である。

 米国は国際合意である核合意から一方的に抜けた。イランと核合意を締結した6カ国のうち、米国以外の英国、フランス、ドイツ、ロシア、中国は合意維持を主張し、日本もこれを支持している。一方的に同調を迫る米国の制裁にもこうした国々との連携が重要だ。

 イランは原油輸出の継続を核合意にとどまる条件としている。輸出が難しくなり、イランが離脱すれば、核合意は完全に崩壊する。歯止めを失った中東の核開発競争が再燃する危険が高まる。

 トランプ政権が制裁復活を決めて以降、イラン国内では経済悪化への懸念から、複数の都市で反政府デモが発生したという。地域大国であるイランの政情不安は地域の混乱を加速する。

 トランプ大統領は原油価格が高すぎると産油国を批判する。しかし、原油相場を3年7カ月ぶりの高値に押し上げている主因は、イラン原油の輸出減少への懸念を招いた米国の強引な政策である。

 日本は、イスラム革命体制の下でイランと米欧の関係が冷え込んだときも、イランと良好な関係を維持してきた。今回、イラン原油の禁輸にあっさり追随すればイランの信頼も失うだろう。

 イランを追い込むことは得策ではない。日本は欧州、中国と歩調をそろえて制裁の回避策を探ると同時に、イランを核合意の枠内にとどめるための働きかけを続けることを忘れてはならない。

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