2018年12月17日(月)

「安全の拠点」で起きた凶行

2018/6/30 21:26
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駅までの道を教える、落とし物を預かる、駐車違反の苦情を聞く。交番は警察と市民の距離を縮め、地域の治安を支える基盤として機能してきた。シンガポールやブラジルなど海外に、制度として「輸出」されてもいる。

その安全・安心の拠点で、凶行が引き起こされた。富山市の交番で、おのやナイフを持った21歳の元自衛官の男が警察官を襲って殺害し、拳銃を奪った。男はその後近くの小学校へ向かい、無関係の警備員の男性を射殺した。

小学校には多くの児童がいた。一つ間違えばさらなる惨事に発展する恐れもあった。事件はなぜ起きたのか。どこに問題があったのか。警察はもちろん、学校や自治体なども安全対策の現状を点検し、再発防止のための検討を尽くす必要がある。

最大の問題は、市民を守るための拳銃が凶器として使われた点だ。拳銃が奪われる事件は2013年以降すでに6件起きていた。

警察官の拳銃はひもで腰ベルトとつなぎ、拳銃入れに収めている。警察庁はこの拳銃入れを、本人以外では抜きにくくなるように改良する計画を進めていたが、これを前倒しするという。当然のことであり、迅速、着実に実施すべきだ。ひもの強度を高めるなど、より一層の改良も要る。

勤務のあり方に問題はなかったか。パトロールの要請などもあり、交番内に警察官が1人しかいない場合も多い。市民に開かれた存在でありながら、万一に備えた交番であるためには、人員の配置や装備の改良、不意に襲われた場合の対策の徹底と実践的な訓練など、解決すべき問題は多い。

事件発生直後、容疑者が拳銃を持っていることが学校側には伝えられていなかったという。緊急事態が起きた場合の、学校や地域への連絡のあり方も課題となる。学校側も銃を持った不審者の侵入までは想定してないところが多いのではないか。児童の安全を確保する手順や方法について、いま一度見直しを加えてほしい。

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