2018年11月16日(金)

発足20年の金融庁の課題

2018/6/29 23:11
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内外の金融危機への対応に追われ続けてきた金融庁が、発足から20年の節目を迎えた。これに合わせるかたちで近く、検査局の廃止・統合などを柱とする初の大規模な機構改革に踏み切る。

デジタル化の進展などで日本の金融ビジネスは自由で柔軟な発想による革新を迫られている。検査をテコに経営を監視し、ときに萎縮させてきた金融庁が組織体制を見直すのは、時宜にかなう。新たな局面に対処できる体制や法の整備に取り組むときだ。

前身の金融監督庁は1998年6月、大蔵省(現財務省)から分離する形で設置された。検査情報の漏洩など官民癒着への反省から独立した金融庁が検査に厳格な姿勢で臨んだのは、当然だろう。

小泉政権下で不良債権処理を急加速させた際には産業界からも批判が出た。巨額公的資金の投入に国民の不満も高まった。

だがそれは不良債権問題を収束するうえで必要だった。2008年のリーマン危機では米欧大手と比べ邦銀の打撃は軽くすんだ。足元の不良債権比率は過去最低水準まで改善している。

危機への対応は一段落した日本の金融だが、先送りしてきた宿題や将来の課題は山積みだ。たとえば、超高齢化時代に向け貯蓄から投資への流れを太くする取り組みは、緒についたばかり。金融機関が顧客本位の経営を徹底するよう、金融庁はさらに促すべきだ。

一方でIT(情報技術)を駆使した異業種からの参入が勢いづいている。金融サービスの活性化は望ましいが、新しい潮流にいまのような業態別の法制で対応できるのか。新たなリスクを踏まえた金融法制が検討テーマになろう。

いつの時代も金融庁の最も重要な役割は金融システムの安定である。日銀の異次元緩和の長期化がもたらす市場変動や、地域金融の不振といった潜在的な波乱材料への目配りも欠かせない。

金融が実体経済の足を引っ張った、かつてのような事態を二度と起こしてはならない。

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