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「個の力」引き出す労働改革をさらに前へ

働き方改革関連法が成立した。日本の生産性や成長力を高める改革の前進を歓迎したい。

法の成立後も課題は多い。たとえば伸びる産業に人材が移りやすい柔軟な労働市場の整備は先進諸国に比べ遅れている。雇用・労働分野の改革に、政府はさらに力を入れる必要がある。

働き方改革関連法の柱は3つある。ひとつは残業時間への上限規制の導入、次に正社員と非正規社員の不合理な待遇格差をなくす「同一労働同一賃金」の制度化。そして一部の専門職を対象にした、職務や成果をもとに賃金を決める「高度プロフェッショナル制度(脱時間給制度)」の創設だ。

いずれも、個人の働きやすさややりがいを高める改革といえる。残業規制は事実上青天井で延ばせる時間外労働を制限し、健康を守りやすくする。同一労働同一賃金はパート社員らのモチベーションを上げ、脱時間給は労働時間規制に縛られずに働ける制度だ。

個人が能力を発揮しやすい環境をつくることで、生産性の向上が見込める。長時間労働の是正は女性や高齢者の就業意欲を高める効果も期待でき、労働力不足を和らげることにもつながろう。

今後の課題は個人の力を引き出す仕組みをさらに整えていくことである。ひとつは、働き方の選択肢をもっと広げることだ。

働き方改革関連法からは、仕事の時間配分を自分で決められる裁量労働制の対象業務拡大が、厚生労働省の調査データ不備問題で切り離された。できるだけ早期の対象拡大の実現を求めたい。

人が柔軟に仕事を移っていける流動性の高い労働市場づくりも急がねばならない。民間の職業紹介サービスを個人が利用しやすくするための規制改革は急務だ。

新しい仕事に転じるためには能力開発が重要になる。公共職業訓練の内容を見直し、在職者が受講しやすい短期のコースを拡充するなど、社会人の学び直しの支援を工夫して進める必要がある。

女性の就業促進を阻んでいるものもある。いまは年収が一定以上になると、夫の配偶者控除が満額適用されなくなったり、社会保険料負担が生じたりする。「専業主婦モデル」を前提としない制度への見直しが求められる。

労働分野の改革と税制や社会保障の改革を一体で進めることが欠かせない。年金制度の見直しには高齢者の就業を促す視点も要る。

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