2018年9月21日(金)

建築ルールを軽視する風潮を改めよう

2018/6/27 23:05
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 多数の死傷者と多大な住宅被害をもたらした大阪北部地震から10日たった。ブロック塀の倒壊事故を受けて、全国の学校で緊急点検が続いている。

 大阪府高槻市の小学校でブロック塀が倒れて児童が死亡した事故は、人災の様相が強まっている。塀の高さや補強壁がない点など、明らかに法令に違反していたためだ。大阪府警は業務上過失致死容疑で捜査している。

 問題が深刻なのは、外部の専門家が危険性を指摘したのにもかかわらず、市側が適切な対応を怠ったことだ。定期点検もひび割れなどを目視で確認する程度にとどまり、違法状態を見過ごしてきた。

 担当した市職員は専門知識に欠け、法令違反という認識すらなかったもようだ。再発を防ぐためにも、まずは責任の所在をはっきりとすべきである。

 違法とみられるブロック塀は学校だけでなく、街なかのいたるところにある。今回の地震では民家の塀でも倒壊事故が発生した。自治体は子どもたちの通学路を中心に幅広く調べてほしい。

 その際に力になるのは地域住民の目だ。町内会などを通じて情報を募り、違法な塀の所有者に撤去を求める。所有者の対応が鈍ければ、危険性がある点を明示し、幅広く情報を公開すればいい。

 これは大阪に限った話ではないだろう。政府が2013年にまとめた首都直下地震の被害想定では、ブロック塀などが約8万件倒壊すると予想している。

 今回の問題の根底にあるのは、建築関係の基準を軽視する風潮なのではないか。その典型例が大規模地震で倒壊しかねない住宅だ。

 耐震性に欠ける住宅は13年時点で全国に約900万戸もある。10年前に比べて2割しか減っていない。政府は20年に250万戸まで減らす目標を掲げているが、達成することは極めて困難だ。

 住宅もブロック塀も現在の基準が設けられたのは1981年で、もう37年たつ。もはや「個人の所有物だからやむを得ない」などと言って済む話ではない。

 倒壊すれば所有者自身にとどまらず、周囲にも被害が及ぶ可能性がある。道路を塞いで救助活動の障害になるおそれもある。

 所有者が誰かにかかわらず、住宅やブロック塀のような構造物には一定の公共性が求められるはずだ。そうした認識を広げないと、災害に強い都市はつくれない。

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