2018年9月21日(金)

仮想通貨の交換事業者は一から出直せ

2018/6/26 23:07
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 仮想通貨取引を仲介する交換事業者への立ち入り検査に入っている金融庁が、新たな行政処分に踏み切った。放置できない法令違反があったとして6社に業務改善命令を出した。複数の事業者に対する一斉処分は3月、4月に続く3度目だが、これで打ち止めとなるかは不透明だ。

 失墜した信用の回復に向けて、仮想通貨業界は一からの出直しを迫られている。法令順守や投資家保護を軽視した収益至上主義の企業体質を改めることが不可欠だ。

 過去の行政処分と今回の意味合いが大きく異なるのは、6社がいずれも金融庁の審査に合格した正規の登録事業者であることだ。これまで金融庁が集中的に検査、処分してきたのは主に審査を通過できないまま営業を続けていた「みなし登録事業者」だった。

 6社にはビットフライヤーやビットバンクなど業界の中核と目されてきた大手事業者が含まれる。日本はいま、世界で最も仮想通貨取引が盛んな国のひとつだ。投資家の口座数は100万件を大きく超えており、交換事業者の責任は重みを増している。

 改善すべき項目は広範に及ぶが、最も本質的な問題は顧客資産の安全管理の脆弱性だ。今年1月には、みなし事業者のコインチェックから580億円相当の仮想通貨がハッキングによって流出する事件が起きた。今回は、登録事業者でもシステム上のリスク管理や顧客財産の分別管理が徹底されていない実態が発覚した。

 仮想通貨市場は2017年に急膨張した。この過程で各社は利益拡大や取引シェアの確保を優先し、継続的なシステム投資を後回しにしてきたつけが回っている。

 資金洗浄(マネーロンダリング)対策も不十分だった。国境を越えて流通する仮想通貨を使ったテロ組織などによる資金調達は国際社会の重大な関心事だ。

 反社会的勢力の資金源にならぬよう、口座開設に際して本人確認を徹底するのは金融取引を仲介する事業者の初歩的な責務だ。新規口座の獲得にばかり力をいれすぎる姿勢は改めるべきだ。

 遅ればせながら業界統一の自主規制団体が発足し、システムの安全基準やインサイダー取引規制、情報公開の強化など自主ルール作りを始めた。効果的で強制力のある規則を早期に定め、業界に自浄能力が存在することを示す必要がある。

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