2018年8月22日(水)

トルコが負う地域大国の責任

2018/6/25 23:04
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 トルコの大統領選挙で現職のエルドアン大統領が再選を果たした。あわせて実施された総選挙でも与党・公正発展党(AKP)の連合が議席の過半数を維持した。

 中東と欧州のつなぎ目に位置するトルコの安定は、地域全体に欠かせない。長期政権に道を開いたエルドアン大統領は、中東を安定に導く地域大国としての責任を一段と自覚しなければならない。

 トルコでは昨年の憲法改正に伴い、今回の選挙後に議院内閣制から実権型の大統領制に移行する。首相職は廃止され、大統領には国会の解散権や閣僚の任命権など、強大な権限が与えられる。

 エルドアン氏は2003年の首相就任以来、15年にわたって国政のトップの座にある。トルコ政治の転機となる今回の大統領選挙でエルドアン氏が再選を果たしたのは、その実績を国民が評価したということだろう。

 同時にエルドアン体制が強権化の色彩を強めていることも見逃せない。これが国内外の混乱とあいまって、地域の不安定要因となっているのもまた、事実だ。

 長い国境を接する隣国シリアの内戦に介入し、北大西洋条約機構(NATO)の一員でありながら米欧と対立し、ロシアやイランとの関係を強める。

 国内の少数民族クルド人との和解は進まず、16年のクーデター未遂事件をきっかけに、敵対する宗教勢力やメディアなどへの弾圧で国民の分断は深まった。

 エルドアン体制下での政治の安定が経済の飛躍をもたらしたのは確かだが、ここにきて変調に直面している。米国の長期金利上昇を背景に通貨リラは急落した。大統領が中央銀行への介入を強める考えを示したことも重なり、投資家や進出企業の不安は増している。

 新たな大統領任期は2期10年だ。エルドアン氏は最長で25年にわたり君臨し続ける可能性がある。地政学上、重要な位置を占めるトルコの不安定化を防ぐために連携し、時には苦言を呈することも国際社会の役目である。

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