2018年11月16日(金)

林業の再生担う新制度の課題

2018/6/24 23:11
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林業の規模拡大を進める森林経営管理法が今国会で成立した。手入れが十分ではない人工林の管理を、市町村が仲介役になって意欲のある林業経営者に集約する。林業の再生に必要な制度だが、課題も少なくない。

日本の国土面積の3分の2は森林で、その4割はスギやヒノキなどの人工林が占める。戦後植林した木々が伐採期を迎えているが、零細な所有者が多く、あまり利用されていない。

新制度は所有者自身で伐採や植林ができない場合、「経営管理権」を設定して市町村がやる気のある事業者に委託する仕組みだ。一度に伐採や間伐をする森林を集約できれば、作業効率が高まる。

近くに作業道がないような条件が悪い森林は市町村自身が管理する。所有者が不明で放置されているような森林も一定の手続きを経たうえで伐採できるようにする。

林野庁によると、約670万ヘクタールある私有の人工林のうち、すでに集約されている森林は3分の1にとどまる。新制度を通じて同じく3分の1を意欲のある経営者に委託し、残る3分の1は市町村が様々な樹木からなる自然に近い森林に徐々に戻していくという。

森林を適切に管理することは地球温暖化対策として重要なうえ、保水力を高めて土砂災害を防ぐ効果もある。国産材の用途が徐々に広がってきただけに、経営規模を拡大する好機だろう。

ただし、山間部の市町村は専門的な人材が乏しく、本当に森林を管理できるのか疑問がある。国や都道府県も協力しないと、新制度は絵に描いた餅になりかねない。

今回の制度を支える財源となるのが、都市住民も対象に個人住民税に上乗せして徴収する森林環境税だ。財政力が弱い市町村にとって安定財源が必要な点は理解できるが、林業のためという名目で無駄に使われては困る。

最低でも、森林の集約がどの程度進んだのかを市町村は毎年、公表すべきだ。成果が上がらなければ新税を廃止すればいい。

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