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春秋

トランプ米大統領のふるまいを支えているのは、米国社会の「PC疲れ」だとよく言われる。ポリティカル・コレクトネス(政治的正しさ)――つまり公の場で、人種、宗教、性別などの差別を排する概念だ。それを窮屈に思う人々を、トランプ氏は取り込んだという。

▼ことは米国ばかりの問題ではあるまい。職場で地域で、多様性を重んじる動きは日本でも盛んになってきた。しかし昔はよかったといらだつ声を、ちまたではしばしば聞く。タテマエはうんざりだと、なじる意見も珍しくはない。自民党の穴見陽一衆院議員はこともあろうに国会で、そんな「ホンネ」を口に出したようだ。

▼受動喫煙対策をめぐって衆院厚生労働委員会に招かれた参考人への、ヤジというより、耳を疑う暴言である。肺がん患者である長谷川一男さんが、自分が使っているコルセットを見せて説明したり、屋外喫煙について話したりしていた。そこへ穴見議員は「いい加減にしろ」。政治家の劣化、ここに極まると言うほかない。

▼「喫煙者を必要以上に差別すべきではないという思いでつぶやいた」。穴見議員は書面でコメントして謝罪に及んだが、ネットには「よく言った」の書き込みさえあるから気がめいる。がん患者との共生など、想像もつかないのかもしれない。PCが米国みたいに徹底してもいないのに、日本はもうPC疲れなのだろうか。

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