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人権をないがしろにするトランプ政権

米国が国連人権理事会からの脱退を表明した。トランプ政権の人権意識の乏しさはいまに始まったことではないが、だからグッドバイではまるで駄々っ子だ。人権の尊重は、人類が生んだ英知のひとつである。弱肉強食の時代に戻さないためにどうすべきか。日本にもできることがあるはずだ。

「政治的偏向のはきだめだ」。脱退表明に際して、米国の国連大使は人権理事会をこう評した。理事会が国際紛争の一方の当事者ばかりを批判するきらいがあることは否めない。

だからこそ、主要国は理事会での話し合いで誤解を解くように努めてきた。民主国家とは必ずしもいえないロシアや中国が理事会の主導権を握れば、ますます反米色を濃くするだろう。

米国は宗教的弾圧を逃れた移民が中心になってつくった国だ。基本的人権の擁護を、民主主義や市場経済とともに重視してきた。押しつけがましい面もあったが、世界に人権意識が広がる過程で米国の果たした役割は大きかったといえよう。

だが、トランプ大統領は人権に言及することはほとんどない。むしろ人権をないがしろにしているといってよい。

今回の脱退は、理事会がイスラエルのパレスチナ系住民への対応を非難したことが引き金だった。これはそもそもトランプ大統領が米大使館のエルサレム移転を強行したことで現地の紛争が激化したことに伴う措置だ。理事会を責めるのは筋違いだろう。

米朝首脳会談でトランプ大統領は安倍晋三首相に頼まれた日本人拉致問題は取り上げた。しかし、北朝鮮における非人道的な支配体制には触れなかった。

もっと重大なのは、中国の人権軽視を見過ごしていることだ。

歴代の米大統領は折りに触れて中国に圧力をかけてきた。民主化運動の立役者だった物理学者、方励之氏(故人)を巡る事件が有名だ。天安門事件後、彼を米大使館でかくまい、米国に出国させた。その後も多くの民主化運動家の出国を手助けした。

こうした動きは、トランプ政権になって止まっている。人権擁護ではドイツのメルケル首相の活動の方が目立つぐらいだ。

安倍首相はしばしばトランプ大統領との距離の近さを強調する。だとすれば直言ができるはずだ。するならばいまである。

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