2019年6月19日(水)

「海原」の夜景 魚群光る 佐賀県庁(佐賀市)
おもてなし 魅せどころ

コラム(ビジネス)
2018/6/25付
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アジアに近い九州は中国や韓国、台湾からの観光客が多い。佐賀県内でも、嬉野や武雄の温泉、風光明媚(めいび)な唐津や焼き物の里・有田がにぎわう。映画やドラマの撮影地となった鹿島市の祐徳稲荷神社には、数年前からタイ人観光客が押しかけている。

そんな訪日客が佐賀空港からの帰国前夜を中心に訪れる、隠れた観光スポットがある。佐賀県庁だ。

呼子のイカや魚群、イルカなどを壁や窓ガラスに投映する(佐賀県庁最上階の展望ホール)

呼子のイカや魚群、イルカなどを壁や窓ガラスに投映する(佐賀県庁最上階の展望ホール)

目的は最上階の展望ルームで行われているプロジェクション・マッピング。現在は第2弾の「星空のすいぞくかん」が開催中で、360度を見渡せるフロアの窓ガラスや天井、床に映像を投映。有明海と玄界灘をテーマに魚群がつくる海中トンネルを演出し、窓に触るとそこに魚が現れる仕組みも導入した。

夜景の中を魚が泳ぎ回る様は幻想的。縦が約1.7メートル、横は合計約30メートルの窓ガラスに1回約10分の音と映像の世界が何度も繰り広げられる。佐賀県には水族館がないため、子どもにも人気。入場は無料で土・日・祝日にも開催し、2016年7月の開始以来、累計来場者は11万人を超えた。

人口約23万人の佐賀市は観光スポットが少なく、特に夜は寂しい。「当初は県民に見てもらうアートプロジェクトとして始めたが、ホテルのフロントの方が勧めてくれSNS(交流サイト)で徐々に観光客にも広がりだした」と県観光課。夜景の楽しみ方を提示する東京のアート集団「NAKED(ネイキッド)」と組み、夜の展望ホールを遊べる空間に変身させた。

県庁新館は市内で最も高いビルで、最上階(12階部分に相当)の展望室は地上約50メートル。広々とした佐賀平野や夜景を楽しむことができる数少ない公開スポットでもある。昨秋は5日間で88万人超を集めた「佐賀バルーンフェスタ」をイメージした秋バージョン、12月にはサンタクロースや雪の結晶をあしらったクリスマスバージョン、今春は桜の花びらなどで演出した春バージョンを映し出した。

休憩時間に流す館内アナウンスにアニメ「セーラームーン」「新世紀エヴァンゲリオン」などで知られる声優の三石琴乃さんを起用したり、地元出身歌手らのミニコンサートを随時開いたりと飽きられないように工夫。"爆買い"ブームが去り、スーパーやコンビニ、テークアウトの店で夕食を買ってホテルに戻る庶民的な訪日客に、ちょっとした娯楽を提供している。

(佐賀支局長 中越博栄)

[日経MJ 観光・インバウンド面 2018年6月25日付]

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