2018年9月21日(金)

米メディア再編が示すもの

2018/6/21 23:04
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 米通信大手のAT&Tがメディア大手、米タイムワーナーの買収手続きを終えた。円換算で9兆円超にのぼる大型再編が実現したのは、メディアを取り巻く環境が大きく変わっているためだ。日本も変化に向き合う必要がある。

 AT&Tは2016年にタイムワーナーの買収で同社と合意した。傘下の衛星放送事業などとタイムワーナーの映画やテレビ番組を組み合わせて収益力を高める狙いだったが、米司法省は「有力コンテンツの独占により受信料が高くなる」として待ったをかけた。

 買収が可能になったのは、米連邦地裁が司法省の買収差し止めの訴えを退けたからだ。米国ではこうした「垂直統合」に厳しいまなざしが向けられてきた。容認に傾いた背景には、インターネットを基盤とする比較的新しい企業が事業を急拡大している事情がある。

 米ネットフリックスや米アマゾン・ドット・コムなどはコンテンツ製作と配信の垂直統合を進め、既存のメディアから利用者を奪っている。広告でもネット企業の存在感が高い。連邦地裁は判断に際してこうした変化を重視した。

 政府の規制改革推進会議の答申をもとに放送制度の見直しを進める日本も、今回の動きから学ぶべきことがある。

 まず重要なのは、メディアの競争軸が変わっていることを認識することだ。ネット企業が台頭し、利用者と直接つながることで豊富なデータを手に入れ、サービスの使い勝手の向上やコンテンツの改良に活用している。技術力を高めて対抗していくことが必要だ。

 メディアが経営基盤を強くすることも不可欠だ。日本でもネット企業が利用者を徐々に増やしているほか、人口減少で国内市場の縮小が避けられない。こうした事情も考慮して効率化を急ぐべきだ。

 健全な経営を維持できなければ、メディアが多様な言論や民主主義、文化の担い手として地位を守ることは難しくなる。制度の見直しに際しては、こうした視点を持つことが欠かせない。

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