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春秋

「文明が進むほど天災による損害の程度も累進する傾向がある……」。1934年、地球物理学者の寺田寅彦は「天災と国防」と題する随想にこんな一節を残した。きのう、大阪府北部で震度6弱を記録した地震の被害が明らかになるにつれて、指摘は身にしみてくる。

▼今回の地震では、倒れたブロック塀や本棚の下敷きになって死者が出たほか、多くの人がけがを負った。加えて、通勤の電車や新幹線が長い時間、運転を見合わせて、水道やガスなどにも影響が及んでいる。「いやが上にも災害を大きくするように努力しているものはたれあろう文明人そのもの……」。寺田の忠告である。

▼浮き彫りになったライフラインのもろさを教訓にして、他の大都市も日ごろの備えを考えねばなるまい。しかし、難題なのは天災の被害を忘れ去りがちなのも人間ということだ。寺田はそれを嘆いた。「地震や津浪(つなみ)は新思想の流行などには委細かまわず、頑固に、保守的に執念深くやって来るのである」(「津浪と人間」)

▼おととし4月の熊本地震では14日夜に震度7を記録、16日未明にも同じ強さで揺れた。結局は14日が前震、16日が本震とされ、後の方による被害が大きかった。こんな事実さえ、もう忘れられつつあるのではないか。列島に宿命づけられた災害と向き合い、恐れず油断せず、減災に知恵を集めて、実践へと移したいものだ。

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